メレンゲが腐るほど恋したい

旅行記や生きものの話を写真多めの長大な記事で送ります

風俗ちょっといい話

「俺、先日デビューしちゃったんだよね…」
安っぽい木目の明るさが支配するさくま水産の一画で、ミツヲはその日の主役になった。「えー」と言いながら羨望の色を隠せない者、肯否まっぷたつに分かれて痴話喧嘩をはじめる男女など様々の反響ある中に、
「ごめんもう一つのさく水行っちゃったー」
入って来たのはご存じメレ子。
「メレちゃん、こいつ風俗行っちゃったらしいよー」
「ちょ、やめろよー」
慌てたミツヲの手をかいくぐりながら報告する友人に、メレ子の相眸がピカリと光る。
「キウイサワーひとつ!…へー、いいんじゃない?売る女あれば買う男ありってことで…」
意外と温かい場の反応に、男もだんだん語りたい気持ちを抑えられなっていく。バイト先の先輩に強引に連れて行かれたこと。はじめは大塚のピンサロだったこと。デビュー後まもなくにして情報誌を漁り、わりとハマッてしまっていること。中でも最近は池袋の泡姫がお気に入りであることなど…。メレ子はキウイをグリグリ潰す手を休めず、時にはエイヒレをしゃぶり、ホッケの身を探り、赤鉛筆を手に注文票と睨めっこし、キウイサワーの沈澱を指さし「かえるのたまご」と言って隣の女の顰蹙を買う、などのギミックをまじえながら耳を傾けた。そして男の口調はどんどん饒舌に、そして誇らしげになっていくのだった。
「それで残りの時間でミキちゃんともう一回することも出来たんだけどね、俺はあえてしなかったの。“この子のことをもっと分かりたい”…」
「ブフー」
「どうかした?」
「失敬!ちょっとタコワサが辛くて…で、何だって?」
「だからね、俺はただヌきたいだけの男じゃないの!ちゃんと話をしてみるとね、あんな所の子でもけっこう考えt」
「プギャー」
「え?」
「自分の性欲を美化しだしたらおしまいプギャー」
「べべ別に俺は」
「ミツヲ君はスッキリした後に『きみもいつまでもこんな事やってちゃダメだよ?』とか言うタイプ!」



「長じて女子中学生を説教しながら組み敷くタイプ!」
「いちばん嬢を馬鹿にしてるのも実はこのタイプ!」
「“あんな所”発言はプライスレスでしたな…」
「先生、わたしのツボは“この子のことをもっと分かりたい”でしたー」
「あ、え、えぇ…」



「ほらミツヲ君そんな顔しないで!まさかちょっと煽てただけで簡単に木に登っちゃう子だなんて、しかも頼んでもないのに跳んでみせてくれちゃうなんて、先生は正直君のこと見直した!感動した!跳べない豚はただの豚だもんね!お礼に君にはここで心ゆくまで飲み食いしていただきたい、さくま水産だけど!でもミチオ君そんなに通ってたらお金ないでしょ、ささ、さささ、グーっとやっちゃって!」

風俗嬢をいたわるオレ自慢したっていいじゃない にんげんだもの
ミツヲ