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メレンゲが腐るほど恋したい

旅行記や生きものの話を写真多めの長大な記事で送ります

耳切山

妄想

Wii欲しくない!
話は変わるけれど、手近な猫をつかまえてとっくりと見てほしい。薄い貝殻のような猫の耳の首側のほうのつけねに、妙な切れ目が入っている。これはすべての猫を統括する耳切山という霊山があり、子猫は生まれると耳切山に連れて行かれる。そして折り目正しい猫であるという証拠に、イリオモテヤマネコのオバアにちょんと耳を切っていただく。十六夜の例会には全国から集った母猫子猫で耳切山は大盛況で、その行列は八合目まで続いている。もしたまには目先の違ったセックスをしようと山にやって来て遭難したカップルなどがあやまってその儀式に紛れ込み、猫たちの姿を目にしてしまったならば、その愛くるしさにキリキリと心臓が絞り上げられるように感じ、ぱったりとその場に倒れ伏して朝には全ての記憶を失ってしまうので耳切山の秘密は保たれている。山猫オバアの金色の目やひときわ尖った耳におそれをなして泣き出す子猫もいるが、耳切台にはDVD設備が備えられていてたとえば第二回最強虫王決定戦〜肉食コオロギリオック対ヒヨケムシだとか、キムタクが『やっぱニコンいいわ』と呟くだけのCMなどが絶え間なく流れていて、これらに子猫ちゃんが目を奪われている内にオバアの巧みな手さばきでことは終ってしまい、子猫はもらったヤクルトをチューと吸いながら胸をはって帰って行く。
やってきた子猫の一匹に目を止めるオバア。「この額つきは…この子こそが現世に降りた猫神さまじゃ!」見出だされた子猫は霊山にとどまり、次代の活仏として英才教育を受ける。やわらかい瞳はこの世のすべてを見通すかのようだ。かれを一目見ようと悩める人や病める人がやって来る。政治家やハリウッドスター、吉本ばなな等の間でも猫神さまと対話することは一種のステータスであり、ボーグで特集が組まれたりしている現状にお猫さま自身は少々困惑気味であるという。