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メレンゲが腐るほど恋したい

旅行記や生きものの話を写真多めの長大な記事で送ります

大人のバレンタイン

今をときめく繊細な乙女ブロガー、メレ山メレ子です。どの辺が繊細かを具体的に説明すると、加藤鷹さんを見るだけでお腹がいたくなる。もう加藤鷹という字を見るだけでちょっとしくしくしてくる。いわんや筆記においてをや、今加藤鷹って書いただけでフル・オブ・イマジネーション、どんどんお腹がいたくなって…キリがないのでこの辺にしておきます。
毎年この時期になると小学校の担任だった餡堂先生のことを思い出します。餡堂先生は前髪のあたりにバブルの残り香のかおるファニーフェイスで、濃い化粧と派手な服装は田舎の小学校ですこし異質な雰囲気を放っていました。ふくよか目の彼女は怒るとマジで迫力充分だったので敬遠する子も多かったのですが、わたしは餡堂先生の、プールの授業でビビッドな色彩のビキニに身をつつみ「先生ビキニや〜!」と騒がれると「カッコいいやろ!もっと凄いのも持っちょんけどなあ、教育委員会に怒られてしまうけん着られんわ!」と言い放つところとか、「あんたらがいい子にせんけん増えるんや〜」と責任転嫁しながら昼休みに生徒に白髪を抜かせたり、ママさんバレーでがんばりすぎてアキレス腱断裂したり、子供相手にマジになって「先生にもこの冬スキー旅行に行こうって誘ってくる男おるんでー」と主張する辺りなど、子供心にウソがない感じがしてけっこう好きでした。少なくとも餡堂先生が入院してる隙に、授業で「弟が畑で花嫁行列を見て、嫁き遅れた姉を気遣う」という内容の詩をことさらに扱いながら皮肉を滲ませたりする、生気に欠けた理科の女教師(既婚)よりはたいがい好きだった。
そういう餡堂先生はバレンタインが近づくと、「先生はなあ、本命の男にはゴディバあげるんで!」「せんせー、ゴディバってなに〜」「アンタらは知らんやろー。高級なチョコのお店よ。一粒数百円とかするんでー」「ええー!たけー!」「スゲー!!」と子供たちと頭の悪すぎる会話を繰り広げていました。その後「せんせー、ゴディバあげたん?」と質問したところ、「ゴディバあげた本命より300円のチョコもらった環田先生のほうが喜んじょったわ…」と肩を落としていたのが印象的で、家に帰ってかりんとうを食べながら母にそれを報告したところ「餡堂先生にゴディバもらったら本気が重てえやろうなあ…」と苦笑していました。今ではメレ子も本気の重さがわかる大人になりましたよ、餡堂先生!
わたしが中学校に上がってからほどなくして、餡堂先生は結婚し、最後に街で出会ったときには赤ちゃんを抱いてました。赤ちゃんがわたしの人さし指を歯のない口でガブガブ噛んでいた力強さをおぼえています。旦那さんがゴディバの彼かどうかはわかりません。