沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

カヌーで森の滝つぼをめざす

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西表島の熱い夜〜ヤシガニとの出会い西表島マングローブ・サイクリングにつづく八重山旅行記第三弾です。この日は西表島最終日なので気合いをいれていきたい!
しかし浮かない表情のメレ山…「前良川カヌーツアー」というアクティビティを予約したものの、直前になって「十二湖の手漕ぎボートですらうまく操れなかったのにカヌーなんて…」と思いはじめたようです。河口沿いでカヌーの乗り方について指導をうけてから、ライフジャケットをつけて乗りこみます。
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「一人では不安なので連れと二人乗りにしてください」と頼んだのですが、ガイドさんによれば「二人乗りのほうがコンビネーションが要求されて大変ですよ」とのこと。大丈夫なのかしら…
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「ハハハ!意外と簡単だな!オーパオーパ
ボート本体が軽いのと、オールが一本なので動作は手漕ぎボートよりラクチン。満ち潮に乗って川をのぼっていくので後押しされているような感覚です。けっこう楽しい!
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川岸はずっとマングローブの林なので、漕ぎながら名前のわかる植物を探したりフワフワ飛んでいる日本最大の蝶・オオゴマダラに目をうばわれたりします。「マングローブのジャングルは恐ろしいですよ…視界が360度同じでコダマも四方八方から返ってくるので、気がつくと同じところをグルグル回ってしまうんです」とガイドさん。
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今日のツアーはわたしを入れて四名。ガイドさんもあまり急かさないようにしてくれるので、ゆっくり川のぼりを楽しめます。
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一時間弱くらい漕いで「楽しいけど…もうカヌーとかよくね?腕もだいぶ重たくなってきたし…」と思いはじめたころ、ちょうど川が浅くなってきました。ここからはカヌーをつないでトレッキングします。ガイドさんは我々のお昼ごはんを持ってくれているため大荷物です。
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西表島に三日もいると、カニに対するスルー力がかなり上がってきます。
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森の中に点々とサガリバナの花が落ちています。この花が九月に見られるのは珍しいらしく、ガイドさんは見つけるたびに教えてくれていました。七・八月を通して台風が来なかったのがよかったみたい。
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サガリバナの花は夏の夜に開いて夜明けには枝から水面に落ち、フワフワと漂いだします。六月から七月の早朝には川面が白やピンクのサガリバナに埋めつくされ、天国のような風景を見るためにツアーが組まれるそうです。一度見てみたい!
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30分ほど歩いたでしょうか、今回の目的地である小さな滝つぼに到着しました。
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「最後のもうひとふんばりです」と言われながら滝つぼの上によじ登ると…岩が平たいテラスみたいになってる!ガイドさんがお昼の準備をしてくれているあいだに水遊びをします。
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岩盤を小石が削ってできたポットホールがたくさん空いている。怪しい生き物が潜んでいそうでワクワクしますね。
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左は西表・石垣島固有種のコナカハグロトンボ。右は沢のそこら中に産みつけられていた謎の卵です。たぶん卵だと思うんだけど卵じゃないかもしれない…ふしぎ発見がとまらない!

「そこに滝つぼがあるのに飛びこまないブロガーの人って…」という声が聞こえてきたので、写真をつなげて動画にしてみました。我ながらすごいへっぴり腰ですね。
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飛びこんだらさすがにちょっと寒くなったのでプルプルしていたら、ガイドさんが八重山そばを作ってくれていました。横にあるのは島とうがらしコーレーグース)といって、お好みで入れると辛くておいしい。
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「ちょっと見ててくださいね」といってガイドさんが麺を沢の中に一本たらしました。するとすぐさま岩の間から長いハサミがニュッとのびて…テナガエビが出てきた!
メレ子「ンマー!こんなすぐビビッドな反応があるなんて、エビ密度が高すぎますね!これは食べられるんですか?」
ガイド「天ぷらにするとカリッとしてすごくおいしいですよ。生でもいけますね」
その後あの手この手でテナガエビを捕獲しようとがんばったのですが、まったくつかまりませんでした…
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異常に楽しい空間だったのですが、野宿したいかというと話は別なのでシブシブ帰ることに。夜になるとハブ出てくるしな…。
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カヌーをつないだ場所に戻ってみると、川の水がドン引きしている!帰りは引き潮にのって帰れるわけですねー
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「これからは私のことを野田メレ佑と呼んでくれてもかまわない」
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人生初のカヌーツアーは楽しすぎて、これ以上ないくらい満足しました!知床などでもやってみたい。
帰り道に「今日が西表島最後なんですよ」という話をしたら、ガイドさんが「由布島とかには行かなくていいんですか?まだ時間もあるし、船に間に合うように送迎してあげますよー」というのでお言葉に甘えて連れて行ってもらいました。


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由布島(ゆぶじま)は水牛車での島渡りが名物の、島というよりは浅瀬みたいなところ。
今は植物園・動物園になっています。
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干し草を食べていたいので就業拒否する水牛
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水牛車をあやつるおばちゃんはリクエストに応じて島歌を歌います。このときは「A島とB島の若者と娘がいい感じになったが若者は最近来なくなって娘は悲しい」的な歌でした。
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さっきまでカヌーを漕いでいたことが信じられなくなるような感じだ…
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さっきまでいた何が出てくるか分からないジャングルの刺激が強すぎて、うつろな目をしながらさまよってしまいました。とはいえもっと本格的なジャングルに置き去りにされたら、確実に泣きますが…。
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浅瀬にシオマネキを発見したので興奮し、迎えがくるまでシオマネキを観察して楽しんでいました。
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次に来るときはミナミコメツキガニも見たいです。


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この日は石垣島に渡り、民宿に泊まりました。残りの三日間は石垣島竹富島で過ごしたので、順次書いていく予定。
西表島は今までに行った場所の中でいちばん動物や昆虫の密度が高くて、今思い出しても最高すぎる島です。二度三度と訪れたい!


西表島 -a set on flickr-