メレンゲが腐るほど恋したい

旅行記や生きものの話を写真多めの長大な記事で送ります

春のおでかけ!鮭の町で出会った必死な鮭の干物たち

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東京は花冷えの最近ですが、気分はすっかり春でお出かけプランや春物の服のことなどを考えると仕事が手につかないですよねー。そんなこんなで3/25発売の新潟タウン情報誌『新潟Komachi』の5月号に登場しております。
「春のおでかけ特集」と題して、新潟から日帰りでも行ける見どころをたくさん紹介しているのですが、その中の4ページをいただいて誌上ブログ的なものを書かせていただきました!鮭の町・村上を一日歩いた感想を写真で紹介しております。
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カメラマンさんにも同行していただき、写真も別人のようにいい感じに撮っていただきました。ありがとうございます…!取材というより編集者さん・カメラマンさんとの女三人旅行という感じですごく楽しかったです。
「紙媒体だとかぶっちゃうからブログのエントリーにはできないかな…」と思っていたのですが、「発売日以降だったら記事にしていただいて大丈夫ですよ」とのお言葉をいただきました!そんなわけで今回は、新潟Komachiとのコラボレーション的な感じで村上町の紹介をしたいと思います。

「イヨボヤ会館」で鮭のすべてをお勉強

新潟Komachiさんには以前も動物特集でわさおの記事にコメントを依頼された経緯があり、限られたスペースでわさおを見に行くときの注意事項にもふれてくださったことを覚えております。「じゃあイカの町の次は鮭の町なんてどうでしょう」「鮭の町なんてものが!ステキですね〜」と取材先もすんなり決まりました。
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新潟駅前に前泊したので、「新潟っぽいものを一食でも多く摂取したい」という気持ちに駆られ、一人でカウンターの寿司屋に飛びこむという暴挙に出る。「うをずし」というお店で食べたお寿司は米も魚もすべてが美味しかった…。加盟店舗で10貫3,000円のセットでその内容を競う「極セット」なるものだそうです。お醤油がエビの魚醤だったり、玉子焼きにもクルミが入ってたりして楽しさ爆発!
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大将の力作の飾りバラン。新潟ならではのトキもいる。


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翌朝、編集者さんとカメラマンさんと合流して村上町へ。「こんなに分厚くてリッパなタウン誌があるんですね。驚きました」という話をしたら「新潟にはWalkerがないことも関係してるのかもしれませんね」とのこと。
鮭の町にやってきたはいいが、何がどう鮭の町なのか、もっと言えば鮭のこともあまり知らない。webで鮭の美人家庭教師と鮭の教え子が「勉強に集中するため」と称してはげしく交尾するマンガを読んだことくらいしか思い出せない…(衝撃のラストだった)こんなことではいけないので、イヨボヤ会館というところにやって来ました。
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イヨボヤというのは村上の方言で、「イヨ」も「ボヤ」も魚の意味。すなわち「魚の中の魚」扱いなのです!いきなり大きく出られた!
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イヨボヤ会館では、鮭の生態や村上に根付く鮭文化を学んだり、実際に遡上を観察したりすることができます。ハラコを模したと思われるライトが妖しく光る。
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誰もいないシアターで鮭の生態ビデオ(15分くらいある)を鑑賞中。鮭って頼まれもしないのに海に下ったり川を上ったり、カーッとすさまじい形相で産卵し果てるし、とにかく必死な魚だなあ…という印象を持ちました。
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鮭の孵化場。今は糸みたいな稚魚が泳いでいます。こいつらもやがてはカーッとやって果てるわけですな…。
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「鮭もいいけどイモリもね!」


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古来より伝わる鮭漁法のかずかず。とにかくどうやっても獲れるくらい鮭が来るらしい。


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地下階には三面川の支流を覗ける生態観察室があります。秋の遡上シーズンには、鮭の遡上および運がよければ産卵シーンも見られるんですって。カーッ!
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オフシーズンには、むしろ生態観察室に至る「イヨボヤロード」のほうが気になる。
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人が通ると壁に描かれた鮭アートがブラックライトに浮かび上がり、まるでラッセンかラブホテルの部屋みたい!
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「それはラブホテルの部屋にラッセン的なやつがあるだけの話だろうが!ラッセンとイヨボヤさんに謝れアホン鱈!」
目つきの悪いヤマメ*1に怒られた。


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鮭ポスター・鮭ストラップ・塩引鮭ぬいぐるみ・鮭の魚醤など、鮭みやげもいっぱい。かなり盛りだくさんな展示なので、ぜひ寄られてみてはいかがかと思います。

奥深い鮭料理の世界

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村上の人たちは大量に獲れる鮭を余すところなく美味しく食べるノウハウを持っています。なんと100を超える鮭レシピがあるのだとか。鮭加工品の「永徳・鮭之蔵」にやってきました。
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見た目もきれいで贈答によさそうな鮭いくらや、鮭の味噌漬・焼漬など。試食してみて、バラエティに富んだ鮭の風味に驚きました。氷頭(頭の軟骨をスライスしたなます)やドンビコ(心臓)、めふん(背ワタの塩辛)などもあり、まったく残すところがないのがよくわかる。魚の中の魚だけあり侮れない奴らです。
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併設の食事処「悠流里」で昼食の鮭親子丼。プチプチのはらこと、軽く炙ったトロトロの鮭の食感にひと口めで「鮭はキング・オブ・魚だということがよくわかりました!」と口走るメレ山。
メ「鮭もおいしいけど米もすごくおいしい!なんなのこれ…」
カ「コンビニのおにぎりも新潟地域はちょっといいやつを使うんですよ。日常的においしいお米を食べているから普通の米じゃ見向きもしないんです」
ずるい…新潟県民ずるいよ…
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夜メニューの「鮭の酒びたし」・「鮭とば」も頼んで出していただく。こういうジャーキー系はお酒好きな人にはいいおつまみになりそうですね。


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雑誌には書いていないのですが、村上町には即身仏のお寺もある。観音寺というところで、こちらに祀られている仏海上人は日本で最後(明治36年)に即身仏になった人なのだそうです*2。撮影は禁止なのですがすごい迫力がありました。お寺なんだけど拍手を打って拝むように言われます。
拝観料300円を払うと、お寺のおばあさんが説明をしてくれるます。これが独特のリズムがあってめっぽういい。堂内に入ると「若い悪女が来たヨ」と言われ、寺の説明から学習院の学級崩壊問題にスッ飛び、即身仏の説明に戻ったと思えばおばあさんの人生の話になっているという具合。
「仏海(ぶっけ)さんは七人兄弟の長男だった、生活苦しくて子守をしてたら赤ンぼ落としてしまってね、アアもう駄目だってんで逃げ出したけど、どうにもならなくて戻ってみたらピンピンしとる赤ンぼ置いてどこ行っとったって言われて、それで命のはかなさ感じて出家したわけね、ねえぶっけさん?(仏海上人の即身仏に話しかけている)」
「わたしは若いとっから働きづめでね、いろんな仕事して一人で生きてくもんだと思ってたら、のんさま(先代のご住職でおばあさんの旦那さん。亡くなられたので仏さんという意味でのんさまと呼んでいるみたい)のところに行く話がきてね、もう年だったから女中として行くんだ思ったら嫁入りだってんでビックリした、ねえのんさま?(仏海上人の横の仏壇に話しかけている)のんさまわざわざ関西まで迎えに来てくれて『贅沢はさせられんけどひもじい思いもさせんようにしますから』と頭を下げてくれた」
「拝観料はおっ母さん(ちょっとこの辺記憶があいまいで別の人だったかも)がとりなさいって言ったの、200円は安い!400円は高い!300円にしろ!ってね、ねえのんさま」
最後はぶっけさんとのんさまの相槌が聞こえてきそうな気持ちになっていると、「悪いことだけはしちゃいけないよ、アンタはもう悪女じゃない、悪いことをしそうになったらまたここに来んさい」といって送り出してくれました。月に一回くらい行かないといけないような気がする…。

城下町で町屋めぐり

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村上は城下町でもあり、昔ながらの町屋が点在しています。町屋がドーンと何軒も並ぶって感じでもないんだけど、さりとて町屋「風」の真新しいお店が目立つというようなスレた感じも薄い。
城下町情報館で町屋についていろいろ教えてもらったのですが、パッと見ふつうの住宅街にも町屋の作りが残っているんだそうです。間口に応じて課税されるため奥に長く延びる構造はもちろん、このへんの多くの家は隣家と一枚の壁を共有しています。一軒ごとに壁があって塀があって…という家の常識を覆された!そのせいかは分かりませんが、新潟地震でも被害が少なかったらしいです。
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3月中から4月3日までは「人形さま祭り」が開催され、それぞれの家が秘蔵のお人形を展示しています。中にはペコちゃんとか、人形の限界に挑戦するようなものもあります。
ちなみに秋には屏風まつりも行われているようで、観光地としてすごく頑張ってますね。下のフルオさんの日記に詳しいです。
鮭の町村上で屏風を見てきました


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観光地としての再起の火付け役となったのがこちらの「喜っ川」。鮭ののれんが最高にイカしてる。Komachiの大見出しの写真もここで撮っていただきました。
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中に入ると鮭のおいしそうな加工品が並ぶ横に、大量の鮭干物が!そしてむせ返るような鮭のにおい。
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ウワー
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おそろしい顔をした鮭の干物たち。
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鮭警報発令中(ささるとすごく痛い)


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よく見ると乾燥度とは別に、あまりいかつくない鮭と
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超こわい顔の鮭がいるようです。種類の違いなのかな?と眺めていると、ご主人が
「同じ鮭なんですが、鮭はオスのほうがだいたい2割多いんです。それでチョンガーのまま死ぬわけにはいかないと思って、メスを争うためにこんな顔になるんですよ」と教えてくれました。鮭のモテたさ加減すごい。

北限のお茶と鮭スイーツ

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いっぱい歩いたので甘いものでも腹に入れたいよねー、という流れになり、甘味処を探す。ちなみに北陸の三月上旬かつ部分的に雨も降った日で、すごく寒かった!のですが、春のおでかけ特集なのでがんばって服装とか編集とか春っぽくしてる感じを紙面でご確認いただければ幸いです…(「掲載時期にあわせた格好で撮影→グラビアアイドルみたい」という脳内変換を行ったのでつらくはなかったです)
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江戸時代創業の和菓子の早撰堂。
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編「メレ子さん見て見て!イモムシの型とかもありますよー」
メ「それはタケノコですよ!!」
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鮭の切り身を模した落雁。匂いをかがない限りわからないくらいリアルな作りで、朝食の膳に並べてみたいという誘惑にかられます。


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村上はお茶を集団的に栽培している地域の北限ということで、「富士見園」と「常盤園」の二つの茶舗に立ち寄りました。上の茶託は「堆朱(ついしゅ)」というこれまた村上の伝統工芸の漆器。堆朱のお店にも行ったけど、けっこうなお値段でした…。富士見園の紅茶ソフトもおいしかった。
創業170年の常盤園でお茶を試飲させていただきながら「日本茶って何を基準に選べばいいの?」という話になったんですが、ご主人は「うちなら100グラム千円くらいがひとつの目安になりますが、高ければいいというものではなくて和菓子には合うが食後には重すぎるものもあります。まずは気軽に立ち寄っていろいろ試飲してみてほしいですね」とおっしゃってました。


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さらにお土産として、「イヨボヤ焼」をゲット。カーッ!の顔をリアルに再現した鯛焼きならぬ鮭焼きです。ひとつだけ買おうと思ってたのに、種類が豊富なもんだから煎茶餡・小倉餡・季節限定の桜餡の三種類も買ってしまった…家に持って帰って冷めてもかたくならず、おいしかったです。村上町の『弥吉』および岩船港鮮魚センターの売店で入手できます。

北国の渡り鳥たち

「人のお金でこんなに遊んじゃって申し訳ないですよ…ムニャムニャ」と言いながら新潟市内に戻る道すがら、白鳥などの渡り鳥が田んぼに多いことに気づくメレ子。今年は渡り鳥が特に近くで見られた年だったようです。「そういえばメレ子さん生き物好きですもんねー」と、渡り鳥スポットのお幕場池に連れてきてもらいました。
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「悪女が来たヨ…三人の若い悪女だ」
駐車場にいた謎の鳥。このひとも渡り鳥なのか?
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「悪女だ」「悪女きた!」
うわ、いっぱいいる…しかもすごくこっち見てる…
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ズビビビビ
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悪い顔
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「幼女だ」「幼女きた」
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「イヨボヤ焼を持ってるのにくれないなんて悪女だ…」
いや、野鳥保護的な観点からはゴハンをあげるほうが悪女なの!


こうやってお招きいただいて旅をするのは初めてで、「楽しめなくていい旅日記が書けんかったらどうしよう…」という不安もあったのですが、編集部のお二人がとても楽しい方だったのと、村上町がすごく魅力的な町だったので仕事感覚皆無でのびのび書けました。ありがとうございました!
ページ自体もブログとはまた違ってかわいく仕上げていただいています。新潟の人たちは冬が長いので春をすごく楽しみにされているそうで、お花見スポットや軽井沢・福島などの他のお出かけ特集もすごく充実してますよ!栃木のB級スポットとしてジャパンスネークセンターなども紹介されてます。新潟以外の方も、新潟Komachiのサイトから購入可能ですのでよろしければごらんくださいませ。カーッ!(すっかり身についた鮭の顔マネをしながら退場)


鮭の町・村上 -a set on flickr-

*1:ヤマメじゃなくてイワナらしいです。ますますイワナに怒られてしまう…

*2:今は法律で自殺幇助や墳墓発掘禁止に引っかかっちゃうので、手順を踏んで入定するのは難しいです