沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

沖縄のトロピカルなマーケット「牧志第一公設市場」と珍百景なドミトリーを徹底取材!

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濃密な沖縄旅行記の時間です。誰に頼まれるでもなく超粘着な旅行記を書くことでおなじみの当ブログ。しかし今回は人に頼まれています!
というのも、ある日「沖縄無人島リゾートへのご招待」という一通のメールが届き、はいはいスパムスパム…と思いながら開いたところ「沖縄のいろんなところに行って紹介記事を書いてほしい」といううますぎるご依頼だったのです。なぜか打ち合わせするたびにクライアントが増える恐怖の事態に加え、沖縄本島は未踏の地で行きたいところだらけ…結局7泊8日の沖縄縦横無尽旅行になってしまいました。
メレ子「人様の金で旅行するのはかねてよりの夢!かくなるうえは一世一代の提灯記事を…」
クライアントの皆様「いや、ヘタな提灯で炎上されるよりは昆虫が悪態をつくようないつもの妄想レビューでいいですよ…」
とのことなので、第一弾は那覇のちょっと変わったドミトリーと、そこからアクセスできる沖縄の味覚満載の公設市場などをご紹介していきたいと思います。

沖縄旅行のはじまりと、珍百景なドミトリー「インリンク」

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八重山に行ったことはあるけれど、沖縄本島ははじめてのメレ山。那覇空港に降り立つと、案内役のSさんが迎えにきてくれていました。今回のお話はネットPRの会社・ValuePress!さんとWEBサイト制作会社・Creape(クリエイプ)さんが「クライアントのクチコミPRをしたい→旅レポートをよく書いているブロガーに来てもらおう!」と考えたもので、最初の2泊3日はSさんにずっと案内していただきました。
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本日の宿泊先・インリンクです。
Sさん「メレ子さんはドミトリーって泊まったことありますか?」
メレ子「いえ、旅ブロガーのイメージとはうらはらに、旅先で人間関係を築くことは非常にまれなのでビジネスホテルとか選んじゃいますね…」
Sさん「これから行くところは相部屋じゃないのでその辺は安心ですよ。宿泊客どうしで仲良くなることもできますけどね。でも、ここはずいぶん変わってるのでなじめるかどうか…」
外観はふつうのビルに見えますが…
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下のフロントでチェックインを済ませます。今回は体験なので1泊のみですが、本来は7泊から受付。長期滞在用の宿泊施設です。簡易郵便受けがずらっと下がったエントランスは開放感があって、スタッフの方も気さくな感じだし「ナニコレ珍百景にも取材されたんですよ」というほどあやしいところには見えないのですが…。
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「今日体験してもらうのは女性専用フロアのカプセルルームです」とのこと。共用のリビングとミニキッチン、ユニットバスがついています。ここまでは普通のアパートの一室的な間取りなのですが、
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スタッフさん「ではこの中からお好きな部屋を…」
メレ子「お…押入れ!」
なんかものすごく無理のある感じで六畳〜八畳くらいの部屋が上下段あわせて8つに区切られている!
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フェリーの船室などにも似ているが、もともと普通のアパートだった部屋を板でむりやりブチ切っているので、窓もあったりなかったりする。
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迷ったあげく、窓がある上段のカプセルに泊まることにしました。階段がないと思われるかもしれませんが、手前の壁についた段というよりくぼみに足をつっぱって登るのである。立って半畳寝て一畳というが、実に1.5畳の仮住まいです。ちなみにこのタイプのカプセルは8日間だと10,500円、マンスリーでは25,950円+退去時清掃費用1,000円。光熱費は込みなのでキッチンで自炊すればかなり安くあげられそうです。
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カギは簡単な南京錠ですが、女性専用フロアに入るためにはもうひとつ普通のカギも必要なので、セキュリティは相部屋ドミトリーより高そう。


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すべてがドラえもん方式ではなく、こういう2人タイプの部屋(相部屋ではないので、友達と来たときなどに便利)や
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すごくまっとうなワンルームタイプの部屋もあります。
メレ子「さっきのを見たあとだとすごく広く感じますね!」
スタッフさん「いつもこの順番で案内するようにしてるんですよ〜」


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洗濯機と乾燥機のコインランドリーも1Fにあります。
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7Fの屋上に干せば乾燥機を使うまでもなく早く乾きそう!
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眺めもなかなかのものです。沖縄は台風の被害をよく受けるためコンクリの屋上がある建物が多いのですが、わたしは屋上大好きなのでこのタイプの建物に一度住んでみたい。
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今日はこの屋上でバーベキューをやるとのことです。時間:日が暮れる頃って書いてある。
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インリンクはモノレールの駅からは徒歩15分ほどのところにあるのですが、レンタサイクル・レンタバイクもやっているので移動は安心です。バイクに乗れないわたしにはよく分からないのですが、こういうかっこいいバイクを宿泊とセットだと激安で借りられちゃうらしい。沖縄は車社会で那覇市内は朝夕渋滞するらしく、バイクなら快適に移動できそう。

お部屋の紹介がすんだので、自転車を貸してもらって自由行動に旅立とうとしていると、社長さんが「うちはドミトリーとバイクのほかにサプリメントの開発もしているんですよ。旅先でナンですがぜひ試してみてください」とのこと。健康にいいばかりか「空腹感が消えて超やせる」という謎めいた灰色のカプセルを10錠も嚥みました。10錠も薬をのんだら中身が何でもだいたい食欲はなくなるような気がするのですが…ダイエットしたい気持ちはあるのですが、旅行では食欲という名の獣を解き放っているため効果を確かめることは難しそうだ。

那覇のメインストリート・国際通りのそのまた裏通りを歩く

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自転車で10分ほどで、国際通りの入り口に到着しました。ゆいレールの県庁前駅〜牧志駅区間にある1.6kmの大通りで、いつも観光客で賑わっています。
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こんなものやあんなものが売られています。
今ちょっと悪意のある紹介をしてしまいましたが、大通り沿いは観光地化しすぎた結果、同じようなお土産やTシャツ店が建ちならびすぎている感じ。

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うーん、落ち着けるお店でちょっと休憩したいかなあ…と食べログで周辺検索してみたら、こんな空地に屋台があるだけの喫茶店を発見!

お探しの店舗のページはありませんでした

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国際通りから裏道に入った理容室の敷地を借りて営業しているとのこと。沖縄の草が生い茂る庭に鳥のモチーフがあっちこっち置かれている。
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テンションが上がっておやつを頼んでしまったため、先のサプリの効果は謎のままとなってしまった…。
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沖縄は5月でも夏のような陽射しですが、ひとたび木陰に入るとすごくいい風が吹いてくる。陽気な店長さんは月桃(ゲットウ)やブーゲンビリア、ベンジャミンなど草木の名前を教えてくれながら「アイビーとかシャレこいた草は植えても太陽に負けちゃうんですけど、勝手にいろいろ生えて木になっちゃうし植木鉢を置けば突き破って根付いちゃいますよ。三年前は更地だったのにね〜」南国の植物、動物みたいでこわい…座っている間に夕顔の花がみるみる開いてきました。

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「ボサッとしてたら日が暮れちまうさー。フワー」
沖縄はどこに行ってもスリムな美形猫が多く、旅行記全編猫が多めになりそうです。
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ここも国際通りから一本だけ裏道のはずなのに、なんというジャングルっぷり…
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繁華街や住宅地の中にいきなり緑に埋もれた小高い丘があります。これは御嶽(ウタキ:琉球信仰の祠)かと思ったけど墓地みたい。
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植物に侵食されまくりの家。こんな家に住みたい!でもハブが迷いこんでくる可能性もあるかなあ…意外とこの辺で2メートル超えのハブが捕まったニュースなどが流れると、旅行中にタクシーのおっちゃんも言ってました。
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親切きわまりない注意書き。

牧志第一公設市場でヤシガニと再会

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国際通りと直角に交わる市場本通り。このアーケードを進むと牧志(まきし)第一公設市場があります。
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サンゴ加工品の店先で寝る猫。
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アーケードがそのまま市場なのではなくて、このでっかい建物の中に市場があるようです。
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市場の周囲には乾物・野菜・果物のお店が多いです。この黒いカラカラしたのはイラブー(エラブウミヘビ)ですね。棒状とうずまき状の二種類があるようだ。市場でイラブー汁を食べることもできますが、旅の後半で食べる予定があったのでここでは見送りました。
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看板猫も複数。
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琉球泡盛のお店で寝ながら客寄せ。
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建物のまわりを一巡してから、いよいよ公設市場に潜入!
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まずはトロピカルな魚たちの色に目を奪われます。
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鮮やかなブルーのイラブチャー(ブダイ)に赤ちゃんも思わず食指を伸ばす。未成年にゃーまだ早いよ!
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いつ見ても変わった顔のセミエビ。ゾウリエビやアサヒガニなど甲殻類もたくさん。
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皮をはがされまくりのハリセンボン。食べられない部分を落とすとかなりコンパクトになってしまうようです。

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精肉店もたくさん。とにかく声をかけられて試食をすすめられます。戦後に不衛生な闇市が流行したことをうけて公設市場ができたそうですが、最近はもっぱら観光客のためのディープな食材店が軒を連ねているようです。お正月には地元の人でも混雑するようで、上野のアメ横みたいなものか。
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牛のモツってこんなに華やかなのか。とても安いですね。

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おっ、懐かしのヤシガニもいるいる!陸上で最大の甲殻類は、知る人ぞ知る高級食材です。
お店の人「おっお姉さん、ヤシガニ食べたいの?あと気になるのある?あーこのダルマオコゼね。じゃあこの半身をからあげにして残りは味噌汁にしよう。このシャコもでっかいでしょ。沖縄っぽい魚をいくつか刺身盛り合わせにしてあげるから。それじゃあ加工代がひとり500円かかるけど、二階のお店で料理しますからね〜」
ものすごい勢いでいろいろつけられた!食べる気マンマンだからいいんだけどさー

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エスカレーターで二階に上がると、こっちには食堂がたくさんある。一階で食材を買わなくても、二階で直接めぼしい沖縄料理を頼むことは可能です。
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さんぴん茶(沖縄では麦茶なみに飲まれているジャスミン茶)を飲みながら待っていると、まず刺盛りが到着。
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彩りを添えるために海ぶどうが多用されるので、先に海ぶどうを単品で頼んでいると悲しい思いをすることもままあるぞ!気をつけろ!
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ダルマオコゼのからあげと味噌汁。ヒレに毒があって岩みたいな顔してるブサイクな魚ですが、白身の肉はもっちりしていてゼラチンがプルプルの箇所もあり、まさに絶品!!!毎日でも食べたい。
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「ダルマオ子に夢中でわたしのことなどお忘れかもしれませんが…」
そんなことないよ!ヤシガニも真っ赤に茹で上がってきました。寿命は50年にも達するといわれるヤシガニ。これは御年20歳くらいでしょうか。わたしよりお姉さんということはないでしょうが、胸が痛みます…
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でもこのカニミソは今までに食べたことない種類のおいしさで、実際に太平洋の島々では食べつくされて分布図がところどころ空白になっているという禁断の濃厚さとかすかな甘みに頭がくらくらします。自分さえヤシガニが食えればどうでもいいので萎え情報として、雑食すぎるため毒素を蓄積して食中毒を引き起こしたり、土葬の風習が残る島ではヤシガニ食をタブー視しているといいます。

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サーターアンダーギーやぜんざい(沖縄風かき氷)などを売るお店もあるので、ここにさえ来れば沖縄っぽい食べ物はほぼ網羅できちゃうマーケットです。台湾の士林夜市を思い出します。

壷屋やちむん通り

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さらに公設市場から5分ほど足を伸ばすと、焼き物屋が軒を並べるやちむん通りがあります。
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正直あんまり地元っぽさを前面に出している焼き物を欲しいと思ったことないのですが、ところどころに古い赤瓦の家などが残っていて楽しいです。
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文化財の古い窯。ここでシーサーとか焼いたのだろうか。
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やちむん通りの突き当たりにある現役の井戸。
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やっぱり一本裏に入ったほうがいい感じの道になる…
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沖縄の家にはよく見られる中国発祥の魔よけ・石敢當(いしがんとう)。魔物は直進する性質をもつとされていて、突き当たりにある家にそのまま入ってきてしまうため石敢當を置くと、ぶつかって砕けてしまうんだそうです。石敢當の上に豚の化物みたいのいるけど大丈夫か。
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「いるのは分かってるんだよ!」「とっとと出てこいやァ」
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ドミトリーの夜

日が落ちてきたのでインリンクに戻ります。ずいぶんいろいろまわって汗かいたけど、そういえばお風呂は共同かつユニットバスなんだよなー。今日ばかりはしっかりつかりたいので帰りに探してみよう。
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大人のお風呂ばっかりだーーー!!
実はインリンクのある辻というエリアは、那覇屈指のソープ街らしいです。でもお客さんはみんなタクシーで来るので人通りはすごく少なくて、夜に女一人で歩いていても危ない感じはしなかったです。むしろお店の男の人がいるので防犯になるんじゃないかな。
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「おまえのようなのがいちばんあやしい」
まったくですわ…
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夜の屋上からの眺め。
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バーベキューをつつきながらほかのお客さんの話を聞いていると、やはりかなり長期滞在者が多いみたい。最長で7年、わたしが泊まるあのカプセルルームにも、一年半住んでる女性がいるんだとか!ツワモノだ…敷金や礼金もいらないので、沖縄の人でも滞在してお金をためたりするんだそうです。
客「おきなわワールドとかにも行くの?」
メ「そうですね、ハブとマングースとか見たいですね〜」
客「あ、今は戦ってないよ?ハブとマングース。台風のときとかハブがさとうきび畑を飛ばされてくとこ見るし、マングースはバイクで走ってるとよく見かけるから、一万円くれたらリアルファイト実現させてあげるよ」
メ「ガビーン!」 


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宿の人に教えてもらったスーパー銭湯に行きました。ユニットバスでもぜんぜん問題ないけど、近くに銭湯があると選択肢が増えていいですね。そして混乱を招く名前の交差点を発見。
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夜も明るいので安心だ!
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祠の前にたたずむ猫。
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部屋に戻って荷物を広げてみる。フトンも一部を折らないと敷けないです。棚がたくさんあるのと、衣類をかけるところやコンセントも確保されているので慣れてくると意外と快適!チャックを下ろす音や紙袋を開ける音などすべては筒抜けなので、同室者がいるときは気を遣いますが…テレビはイヤホンで観るルールで、パソコンを持ちこめばネットすることもできます。
しばらく落ちつかない気持ちで携帯などいじっていましたが、いつのまにか寝てしまいました。


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7時間寝てスッキリ目覚め、朝の散歩。気立てのよさそうな犬、おはよう!
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公園もなんだか野性的な感じでいいわ〜。ナナホシキンカメムシいないかしら…
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「ギャア!何見てんの!」
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「ナナホシキンカメムシならあっちに2キロほど行ったところにいましたよ!」
うそつけ


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最初はびっくりしましたが、ユニークな部屋に泊まれていい経験でした!すごい長期休暇がとれたらまたゆっくり滞在してみたいです。インリンクの皆様、すごくお世話になりました!

インリンク
HP:インリンク(ウィークリー・マンスリー/カプセルルーム/ドミトリー&レンタルバイク)
電話:月〜土(10:00〜19:00) 098-866-3507
住所:〒900-0037 沖縄県那覇市辻2-7-6
アクセス:ゆいレール旭橋駅より徒歩15分

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こんな感じで、これからまた長大な沖縄旅行記を書いていく予定です。瀬戸内など別の場所の旅行記もはさみながら更新していくのでよろしくお願いします!

【更新予定】

  • 第2回:那覇から20分でアクセスできるサンゴ礁の無人島「ナガンヌ島」
    • 「ナガンヌ島」とニュータイプなビジネスホテル「Avavti」を紹介
  • 第3回:絶景が広がる恩納村の海岸線でマリンレジャーを満喫
    • サーフィン体験「シーナサーフ」・貝採り体験「ナビービーチ」・ダイビング「アイランドブリーズ」を紹介
  • 第4回:琉球神話の地「久高島」で伝統のウミヘビ汁をすする
  • 第5回:沖縄南部めぐり〜城(グスク)とおきなわワールドでハブのお勉強
  • 第6回:備瀬のフクギ並木と沖縄美ら海水族館
  • 第7回:世界遺産・首里城と金城町石畳道を散策

※4回以降は紹介はなくいつもどおりの旅行です

沖縄(国際通り -a set on flickr-