沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

自転車で行くアユタヤ・廃寺を賑わす動物たちに会った

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バンコクから60kmの郊外に位置する古都・アユタヤに日帰りしました。自転車で巡れるアユタヤ遺跡群は予想以上に粉ッゴナのゴナだったのですが、廃墟にはハチ・鳥・犬などいろんな生き物が暮らしていてにぎやかでした!タイの鉄道もなかなかワイルドだった…
タイ旅行記を最初から読みたい方はこちら→バンコクのハイテンション寺めぐりと、虫屋台の虫実食レビュー

タイ国鉄でアユタヤ県へ

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バンコク・フアランポーン駅。中に入ると駅員さんが「アユタヤ行きの電車はいついつ出るからあのホームで待て」的なことを英語で教えてくれて頼もしいが「ワンデイトリップなのか、それはかわいそうだ、お寺は早めに閉まってしまうからちょっとしか見て回れない、アユタヤをちゃんと見ようとしたら一日では足りない」的なことをいささか過熱気味に説明されへこむ。確かに一部しか見れてないけど、ちゃんと楽しかったよ!
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ガイドブックに書いてあったダイヤに合わせて来たのだが、実際のダイヤは違うらしく一時間くらい待つことになりました。
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えらい適当に洗われてるこの電車に乗るらしい。到着時間より前に着いていましたが1時間くらいの遅れは誤差のようです。
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買うときに2等がいいと言われただけあって、なかなか快適である。2等と3等の料金は10倍くらい違いセレブ車両気分です。1等の車両は見当たらなかったけど、どんな待遇なんだろう。
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アユタヤ駅までは2時間くらいです。車窓風景は人家がチョボチョボと原っぱくらい…アユタヤに着く直前に車内に水とお弁当が配られ、おお!2等すごい!と思ったが、食べる時間がなくて残念でした。
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「ようこそアユタヤへ!厳密にはようこそアユタヤ駅の有料トイレへ!」
国鉄BTSなどと違って洗練されてない雰囲気なのでちょっと心配でしたが、大過なくアユタヤに到着。

自転車で遺跡めぐりに出発

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駅を出ると犬がボトボト落ちている屋台街があり、レンタサイクル屋もあるようだ。トゥクトゥクとかを貸し切るのも便利ですが、値段交渉という名の異文化コミュニケーションがつらいモヤシっ子なので、できるだけ自力でめぐりたい…。
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道ばたでジュージュー焼いていた何かとコーラで昼ごはん。コーラのストローがテンション高いです。
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自転車を40バーツ(120円)で借りて、準備万端!
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しかし遺跡に行くには川を越えなくてはならないのだった。割増料金で自転車をのせることはできるのだが、渡し場や船には自転車バリアフリーな仕組みはなく、他の乗客に肩身狭いわ自転車の上げ下ろしが超面倒だわ…帰りもコレかと思うとテンション下がる…。
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「ああっ、そんな…申し訳ない… コップンカ〜(ありがとう)」
モタモタしていたらササッとタイ人の兄ちゃんが自転車を運んでくれました。よく見たら船関係の人でもなくて単に親切な人だった!ありがとう!!
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渡し場からは10分くらいまっすぐで遺跡に行けると水売りの兄ちゃんが教えてくれました。今、メレ山号がアユタヤに吹く一陣の風となって走り出す!だが浮かない表情のメレ山
「低くしたサドルが左右にフラフラ動いてるよー!あとブレーキがどうやら全くきかないの…」
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「こわいよ〜こわいよ〜」
運動神経が切れているミステリーハンター・メレ山の明日はどっちだ!

木の根に包まれた大人気仏頭 ワット・マハータート

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広い車道を進むと、アユタヤの一つの見せ場であるワット・マハータートに到着。レンガの仏塔にワクワクしてきました!
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遺跡内にも犬がウロチョロしている。ちなみに日記一枚目の毛玉は観光客が連れてきた温室育ちの犬です。犬連れで入れる世界遺産、タイ国やはりフリーダム。
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これが有名な木に包まれた仏頭。仏頭より高い位置に立ったり、頭のない仏像に首を重ねてふざけるのは不敬になるらしいので注意しましょう。
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ガイドブックでも必ず掲載されているので大人気だが…うすうす分かっていたがだいぶ小さい、そしてチェーンで囲まれているため情緒がない…。ガッカリアングルで読者をだますのが嫌いなのでわざとひどい画角で残しておきますね!しかし日本の小さなテーマパークの写真とか載せると「写真マジックやめろ!実際のバナナワニ園の30倍魅力的」とdisられたりするので、安い反骨精神に過ぎないのかもしれません。


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上の仏頭以外の場所は人もあまりいなくてゆっくり見てまわれます。
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しかし、仏像はほとんど頭がなくて、完膚なきまでにバッキバキ。18世紀ビルマの侵攻によってこんな風になってしまったようです。いくつかは後から頭部を復元したりもしているが、やはり違和感が大きい。
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境内は非常に広くて壮大な寺院だったことが偲ばれますが、レンガ部分しか残っていなくて惜しまれますなー
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お参りに来たお坊さんが格好の被写体と目される。オレンジの僧衣を着たお坊さんを見るたびに「おーい水島!一緒に日本に帰ろう!」と揺さぶりたくなってしまうが、お坊さんが水島ルックをしているのではなく水島がお坊さんルックをしているだけであること、メレ山は今日本に帰りたいとか1ミリも思っていないことにより、二重の意味で間違っている…。
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日陰で昼寝しようとするがだんだん日向になってきて悪夢を見ている犬がたくさんいる。きっと友達に勝手に本棚チェックをされた挙句、サガノヘルマーの漫画のいちばんヤバいページを偶然開けられて、「わたしの妻だ…」って無表情でセリフを朗読されたりする夢でしょうね…。

仏像の上で分蜂するミツバチたち

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ワット・マハータートと道を挟んで向かいに、ワット・ラーチャブラーナがあります。とにかくこの一帯は寺まみれ!昔は壮麗だったと思われる大きな門を抜けると、崩れた本堂の向こうにプラーン(主塔)が。ワット・マハータートの境内からも見えるので、けっこう高い。このお寺はアユタヤ遺跡の中でもいちばん建築装飾等がよく残っているところらしいです。
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メレ子「ブフーwwwこれでwwwいちばんよく残ってるってwww崩壊しすぎwww」
ネズミ「お前どこ中や!表出ろや!」
メレ子「どこもかしこも崩れすぎてて表しかないくせによう言うわ」
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しかしたしかに漆喰でごまかしてるところがあるとは言え、他の遺跡に比べればよく残っている。アンコールワットを築いたクメール文明の影響が強いらしいです。
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神鳥ガルーダです。プラーン内部に登ることもできるらしく、自由度が高いのもうれしい!
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本堂が一望できます!それにしても仏像のたぐいは木の根に巻かれてるとか高いところにあるとかよほどのことがない限り、徹底的に潰されてますね…もったいなさすぎる…
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塔の内部に下りる階段を発見。かなり急で狭いですがなんだろう?
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一人しか通れないかびくさい階段を必死で下りてみると…行き止まりの四角い小部屋になっていて、四方の天井に壁画が!
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とはいえ仏が描いてあったと思われるところも、大福餅のような輪郭を残すばかりなのですが…植物とつがいの鳥の辺りはよく残っていて、かつては極彩色で鮮やかな極楽の風景が描かれていたことがわかる。
他の日本人観光客が階段を下りてこようとして「だいじょうぶ?」「大乗仏教!」と話していたのが印象的でした。アユタヤ遺跡のお寺は上座部仏教小乗仏教)だそうだけど…OK牧場より教養を感じさせるギャグとして、積極的に使っていきたい。


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塔の側面にまわってみると壁に彫られた仏像があるけど、これは復元かなー?などと言っていると、なんか違和感が…
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メレ子「ギャッ!キャラメルナッツ状のペーストが仏像を侵食せんとしている…これは宇宙から来た謎の生物?ビルマ侵攻に続いて、神はどんだけアユタヤを試そうとしているのか…!!」
ブーンブブーン
メレ子「?」
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…!よく見るとキャラメルナッツ星人ではなく、ハチのかたまりだ!どうやらこれはハチの分蜂(ぶんぽう)に遭遇してしまったようです。ハチは女王を中心とする巣がひとつの生命単位のようになっているため、巣に複数の女王バチが誕生すると巣分かれのためにいったん大集合するのだそうです。
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ちなみに出て行くのはお母さんのハチだと言われていますが詳しいことはよくわかっていないみたいです。「女王は2人はいらねえんだよ!」とか言ってキャットファイトならぬインセクトファイトしたりはしないのだろうか…分蜂はいつか見てみたい虫現象のひとつだったので、アユタヤという最高にドラマチックな舞台で見ることができてよかった!
メレ子「蜂球の中がどうなってるのか想像不可能なので石とか投げてみたい気がするが…かなりいろんな意味で許されんな…」
ハチ「ブーンブブーン(ワット・ラーチャブラナをお前の菩提寺にしてやろうか?)」

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その他にもリスとか、
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境内の花の蜜を吸っているこっちはハチドリ…と思ったら、東南アジアにはハチドリはいなくてこれはキバラタイヨウチョウという鳥なんだそうです。やっぱり生き物密度が高い!ワット・マハータートの仏頭のまわり以外は観光客はそんなにいないので非常に見て回りやすいですね。ツアー客は仏頭だけ見て帰ってるのだろうか…?

アユタヤのシンボルの三仏塔・プラシーサンペット

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ここまででだいぶ時間を使ってしまったのですが、アユタヤにはまだまだたくさんの寺院がある。「もう一箇所くらいは見ておきたい…」と自転車で15分くらいのところにあるワット・プラ・シー・サンペットに行きました。
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エレファントキャンプの象たち。象とのふれ合いは別の現地ツアーで予約していて、いっぱい乗ったので別記事でネットリ紹介するんだ!アユタヤの象のり体験なんてうらやましさゼロ!
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プラ・シー・サンペットはワット(寺院)と呼ばれていますが王族の骨を納めている守護寺院で、厳密なお寺ではないそう。錐形のチェディと呼ばれるスリランカ形式の三大仏塔が印象的です。
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塔の前に植えられたプルメリアが甘い匂いを放ちます。
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そろそろ夕暮れの気配。
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「あまりに全てが壊れているので、終盤はもう「こんだけ念入りに壊すのも大変やったやろ?」的な気持ちになってきたワ…」


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東南アジアはどこに行ってもシンプルな犬がいる」ことを実感しつつあるメレ山ですが、このお寺は特に野犬が多い。観光客にエサをねだっていたけど凶暴化して駆除されるようなことにならんといいけど…
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右の人なんてどう見てもカタギじゃない!全国の勇猛な犬を集めて伝説のクマに立ち向かったりしてもおかしくないですね(そんなマンガがジャンプで連載されていたことも含めていろいろ夢がある話だわァ)

つらい帰り道とタイごはん

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自転車を船に乗せないで済むように遠回りして駅に戻る道もありますが、ノーブレーキの自転車でタイの車道を走るのはちょっと涙ぐむくらい恐ろしいのでおすすめしません!!船着場の向こうにもレンタサイクルがあると知っていれば…ああ、情報弱者…
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帰りの電車は「2等の電車は一時間後に来るから3等のに乗れ」的なことを言われ、座れなかったので生ける屍になっているメレ山。バンコク〜アユタヤの日帰りツアーはマイクロバスや船などいろいろな手段があるので、ローカルな雰囲気を求めてるのでなければリスキーな鉄道を使う必要はないかもしれませんね。車内でタイ人がみんなBlackBerryで通話してたり、二人がけの席に寝ころんで弁当を使ったあと弁当ガラをボーンと窓から投げて、人ごみをかきわけて変な干物を売りまわる爺さんとか、遺跡めぐりをしているうちに仲良くなったらしい日本人の妙齢男女が微妙な距離感で話してるのとか、いろいろ面白かったけど。
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ドロドロの状態でバンコクに到着!お疲れ様でした。


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お店を選ぶ余裕もなく、タイ料理のファーストフード&フレッシュジュースのチェーン店らしきところへ。
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疲れたのを言い訳に甘いものをむさぼってやった!日本でも本格タイ料理屋で食べられるもち米マンゴーは、新感覚でほんとにおいしい!!
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さすがにお腹がタプタプになる量のドラゴンフルーツジュース。タイの果物は味が濃くて、日本とかいう寒くて細長い国のことを忘れてしまいそうです…


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アユタヤはのんびりしていて、思ってたよりだいぶ崩れていたが動物いっぱいで、寂しい感じはしない廃墟でした!
次回はさらにバンコクを離れ、カンチャナブリーへ。タイガーテンプルでトラをかき抱き、日本軍の築いた「死の鉄道」を渡り、クウェー川に浮かぶラフトハウスに泊まったりバナナの葉の王冠をかぶってゾウに乗ったり…と、さらにワイルドなコースをお伝えします。

Thailand-アユタヤ -a set on flickr-