沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

ここ一年で旅ブロガーを通り過ぎた7つの水族館たち

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八景島シーパラダイスにて
写真を整理していて「そういえば2010年度はそこそこ水族館に行ったなー…水族館にはあまり年は関係ないだろうしましてや会計年度で紹介する意味はゼロだが、それぞれ特色豊かな水族館たちの写真をデジタル虫干ししたい!」と思い、水族館の思い出をまとめてみることにしました。

旅ブロガーを通り過ぎていった水族館たち(カッコ内は所在地)

この他には5月にかの有名な美ら海水族館にも行きましたが、沖縄旅行記の一環として別記事で詳しく述べたいと思います。なお、白浜水族館に行ったのは2009年になりますが、わりとアクが強くて楽しいので死蔵するにはもったいない…とあわせて紹介することにしました。なお、通り過ぎた男については別記事で紹介しません。

大分マリーンパレス水族館「うみたまご

公式HP:http://www.umitamago.jp/

施設面積 14,000平方メートル
展示水量 3,350t
展示点数 500種 15,000点

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まず第一弾はメレ子の故郷・大分は別府湾のほとりにある「うみたまご」です。
2004年に「うみたまご」としてリニューアルして非常に近代的な設備になりました。実は1964年開業とかなりの歴史があり、開館後7年間は入館者数日本一だったりします。わたしの青春時代は「入館者どこ行ってもうたんや…」って感じでしたが、立派に全国レベルに返り咲きました*2
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ドライブデートのスポットとして、いい雰囲気になれそうなお部屋もある。昔は薄暗い水槽にあまりにも巨大に成長したタイやカツオやクエたちがゴンゴン回遊していて、萩原朔太郎「死なない蛸」を思わせる翳のある水族館で、デートしてもあまりよい雰囲気になりませんでした(「それはメレ山の青春バイアスであり、デートしてよい雰囲気にならないのはお互いのこととかよく知らないのに付き合ってみてるからであり、原始時代ならともかくスポーツができるとかどうでもいい基準で好きになっているのがおかしい」という正論はお受けします)。潮流式回遊水槽を世界で最初に実現したのもなんとこのマリーンパレスだということで、魚たちが育ちすぎるくらい育っていたのもうなずけます。
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お魚が芸をするコーナーはリニューアル後も健在です。イシダイの輪くぐり、タコの宝探し、テッポウウオの射的やデンキウナギの放電など…「イシダイが頭いいとか衝撃!」と子供の頃思ったものです。
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わたしが特に好きなのはタチウオの展示です。写真はショボいですが、真っ暗な水槽の中、下からのかすかな照明を受けてビカビカ光りながらゆらめくタチウオはまさに「立ち魚」であり「太刀魚」です。透明な背びれが虹色に光る様は必見ですよ!食卓ではおなじみの魚ですが、給餌が難しく光に弱いため、飼育が非常に難しいらしいです。この展示だけでも大分に行く価値がある!!
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魚たちを見終えて2階に出ると海獣や動物たちのゾーン。背景には別府湾が広がっています。
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「オウ呼んだか。そうやワシがセイウチや」
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スタッフ「呼んでねえわ」ブシャー
セイウチ「なんしちょるかコラー!」
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「次に来たら腹筋見せちゃるけんな。今日はもう終りやけん(九州では彼らが腹筋をするCMが放映されているそう)」
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トド「セイウチなんかただの肉塊!うみたまナンバーワンの座はトドに決定!ゴォー」
スタッフ「そうね〜」
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メレ子「リニューアルしてから来るのは三度目だが、なんか来るたびに魚以外の動物が増えてる気が…あっ!コツメカワウソ!」
コツメ「なんやなんや!お前らなんや!」
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コツメ「えらいこっちゃえらいこっちゃ」
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コツメ「こらおおごとヤー!!!!!」
メレ子「何がだよ!!!!!」
コツメたちは超絶かわいいが超絶落ち着きがなかったです。
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オオハシ「わたしよ」
メレ子「だから何が!!!っていうかお前までいんのかよ!何この楽園…」
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ナマケモノ「これあったかいわ〜」
開放的な円筒型の温室に熱帯の動物が入っている。ナマケモノのわりにがんばりやさんな姿勢で寝ている。
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ナマケモノ「いい睡眠のためなら死も辞しませんよ」
メレ子「それちょっとわかるわ〜」
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横のレストランでは、大分名物・かぼすを浮かべたラーメンなども供しております。関アジ・関サバ・城下ガレイ・臼杵*3フグなどの大分名物を食べる予定がないのならいいかもしれませんね…

いおワールド・かごしま水族館

公式HP:http://www.ioworld.jp/

延床面積 13,000平方メートル
総水量 3,200t
展示点数 約400種

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うみたまごにページを割きすぎて更新できるのか不安になってきましたが、九州の水族館をもうひとつご紹介。鹿児島市にある水族館「いおワールド」です。鹿児島であった友人の結婚式のついでに行きました。「いお」は鹿児島弁で魚の意味らしいです。新潟でも魚のことをイヨって言ってたね〜
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こちらの見どころはなんといっても黒潮に乗ってやってくる世界最大の魚類・ジンベイザメです。
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ジンベイザメのユウユウはまだ子供です。鹿児島の海では定置網に毎年数匹のジンベイザメがかかるのですが、20mにも成長するジンベイザメを13m×25m×5mの水槽で飼いつづけることは不可能。そこでいおワールドでは、ジンベイ子を5.5m程度まで育て、その後自然に帰すための訓練をして海に放すという展示方法をとっているそうです。何代も代替わりしているジンベイザメはみんなユウユウと呼ばれています。背びれに付けた発信機による回遊経路調査で、屋久島の方まで南下したユウユウもいるそうです。
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ここまでアクティブに腹を見せてくれるホネガイははじめて見ました。
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E-3ではなくE-P1ではさすがに水族館はつらかった…
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このケッタイな細長い虫、実はジンベイザメとツートップをはれる逸材です。錦江湾の海底には、火山ガスが噴出す「たぎり」と呼ばれる噴出口がたくさんあります。サツマハオリムシはそのたぎりに群生を作り、硫化水素を共生する硫黄細菌(バクテリア)の活動で有機物に変えて養分を得ているのです。他のハオリムシたちが「しんかい2000」とかに乗らないと見られないような深海にいるのに対し、サツマハオリムシはなんと82mと浅い場所で発見されました。国内ではここと江ノ島水族館で飼育展示されています。鹿児島の海のワンダーランドっぷりが実感できますね。
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いおワールドは桜島フェリーターミナルと隣接しています。桜島観光の際には、ぜひいおワールドに立ち寄って海底での火山活動が産んだ生命を観賞すべき!

葛西臨海水族園

公式HP:http://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/

延床面積 14,772平方メートル
総水量 3,160t
展示点数 約650種

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東京湾の水上楼閣といった感じでスタイリッシュな建物です。モダニズム建築の巨匠・谷口吉生の設計。このガラスドームがエントランスで、地下に下りるところからが観賞順路となります。
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シュモクザメとエイの水槽、小さいマグロの入った水槽など、最初は水槽内に何の装飾もないためか殺風景な展示なのですが…
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まるで映画館のような回遊水槽をカツオ・キハダ・そしてクロマグロなどがビュンビュン泳ぐ姿がめちゃくちゃかっこいい!
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水槽の近くに立つと、マグロたちがギュンギュン迫ってきます。
マグロ「誰がお前なんぞに迫るかクソアマ」
メレ子「うるさい!お前らなんか人間界では迫りたくない人の隠語になってるくせに!」
マグロ「それはお前らニンゲンに虐殺された後の姿や!死んでからギュンギュン動くやつがあるか!」
メレ子「そうか…(メレ子の美質のひとつは素直な性格です)」
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一頭だけ2メートルはあろうかという大きなマグロがいて、こいつだけは他の群遊する魚たちとペースをあわせることなく悠々と泳いでいる。マグロ界のドンです。
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他の魚類もいろいろと充実しているのですが、こんな偉そうなロケーションのヒトデを見たのは初めてだ。これはヒトデ界のドンです。
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この人は期間限定っぽい水槽にいて、何者かはわかりませんがエロ業界のドンだと思います。パックリ割れやがって!
(追記:ヤマトメリベというウミウシの仲間だと教えていただきました。ありがとうございました!)
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葛西臨海水族園はどうも群雄する生き物を見せる術に長けているっぽい。この横から見られるペンギン水槽もかなりの迫力です。
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子供たちはかぶりつきで大喜びでした。空気を読まずにかぶりつく子供達にサツマハオリムシを飼えるレベルで嫉妬をたぎらせたことをここにご報告します。
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一部水槽のバックヤードは専用通路から常時見られるようになっているのもうれしい。
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水族を楽しんだあとは臨海公園の観覧車に乗って夕焼けの東京湾を眺めるのもいいですね。
葛西・浦安近辺では東日本大震災により、液状化現象の被害が深刻だそうです。葛西臨海水族園は3月17日から営業を休止しており、4月1日から再開するとのことですが、行かれる際は公式HP等で最新情報を参照されてください。

八景島シーパラダイス

公式HP:http://www.seaparadise.co.jp/

延床面積* 18,000平方メートル
総水量* 12,000t
展示点数* 500種(10万点)

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ご存知横浜のレジャースポットです。総水量がダントツに多いのはショー水槽が大きいのと、ふれあいラグーンという野外水槽があるからみたいですね。ショーはあまりがんばって見ないほうなので、詳しくレポートできずすみません…
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わたしはここの高さがある大水槽が好きです。
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そして大量のイワシの群れ!
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シロクマ「夢みたいな光景やねー!」
もちろん上記はフィクションであり、別水槽にいるシロクマが国内最多5万尾のイワシたちを目にすることは一生ありません。
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音楽にあわせてマイワシの群れがひとつの生き物のように動く「スーパーイワシイリュージョン」というパフォーマンスをやっています。ハイパーメディアクリエーターみたいな響きでうさんくさいんだけど、ハイパーメディアクリエーターよりもクリエイティブかもしれん!(ハイパーメディアクリエーターさんの作品を見たことないのでいい加減なことを言ってすみません…)
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チャララ〜♪
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チャーラーラララー
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ラーラーラー
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ジャジャーン!
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ラーラールー
正直に言って、どう考えてもこんな音楽ではなかったし、音楽にあわせて動いていたかも定かではないのですが、ひとつ確かに言えるのは、マイワシの群れはすばらしいということです!マイワシ自体が音楽的存在であるといえるだろう(キリッ)
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八景島にはイベント的なもので行ったので、最後にイルカのいる建物でパーティーがありました。非常にムーディーだったのですが、当のイルカが岩陰に隠れている小アジをつつきまわし、縦横無尽に引き回しの刑に処するというアクシデントが起こりました。
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息もたえだえの小アジをくわえる犯人のシルエット
ギャラリー達は非常に盛り上がり、「やはり知能が高い生き物は残虐だ、人間が最たるものだ」「この有様をシーシェパードに見せるべきだ」等のありがちなコメントが述べられて事態は収束に向かいかけましたが、「しかしボノボだけは知能が高くても優しい」と主張する者があらわれたため、議論は腰砕けになりました。

エプソン品川アクアスタジアム

公式HP:http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/aquastadium/

延床面積 11,535平方メートル(アトラクション・ライブホールエリア含む)
総水量 4,100t
展示点数 300種

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「エキマエ水族館」というキャッチコピーのとおり、都内のオシャレデートスポットとして隆盛を誇ります。しながわ水族館が空気扱いされていないか心配。
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美しい料金表が商魂たくましい感じでよい!動物は基本的に人間とふれあいたがってなどいないので、有料なのは当然なのです!
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決して広い水族館ではないのだが、内容はかなり充実していて退屈しません。とりわけ20メートルの水中トンネルは最高!何が最高って、ノコギリザメを筆頭とするひらぺったいサメたちがトンネルの天井部分をいたく愛しているらしく、何頭ものひらぺったいサメたちのお腹見放題なところが最高!よく考えたらダイビングとかってひらぺったい魚のお腹を見る機会とかはあまりなさそうで、水族館の魚に対するアングル設計って非常に重要ですね…
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フウセンウオちゃんは期間限定展示だったかも。風船に乗せるというアイデアはともかく、フウ子ちゃんってなんてかわいいの…フウセンウオちゃんがいっぱいいるという日本最北端の水族館、稚内のノシャップ寒流水族館に今すぐ飛びたい!
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1300人収容のホールで行われるイルカショーが本館の目玉。ショーの前から放送で「一列目はみ・ず・が・かかります〜 どうぞカッパをお買い求めください〜」と煽られる。
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ショーがはじまっても「えっ?三列目までのみなさん、あれほどまで言ったのにカッパ着てないんですか?いいんですか?移動するなら今のうちですよ??カメラも注意してくださいよ〜」とめっちゃ自己責任論を唱えられます。どうもここはイルカに水をはねられるくらい近いのがウリらしい。
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ブバー
これは大迫力や!(イルカが全くまともに撮れませんでした…)
いい感じの人と一緒に行くと水をかけられてキャッキャッてなって仲が深まるかもしれませんが、わたしは仲を深めたくない感じの人と水族館に行ったことがないので効果のほどは測定できません…

サイアム水族館

公式HP:http://www.siamoceanworld.co.th/

延床面積* 10,000平方メートル
総水量* 4,000t
展示点数* 400種

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タイはバンコクの巨大ショッピングモール「サイアム・パラゴン」の地下にある水族館です!タイ旅行の最終日にバンコクで時間ができたので行きました。日本は一人あたりの水族館数がいちばん多い水族館大国、そこまで期待していなかったのですが、けっこう斬新でしたよ…
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タイのホウボウ?
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タイのタコ?(かわいい)
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アユタヤ遺跡的なものの再現水槽
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落としたレタスを追って入水するカピバラ
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謎のリゾート的ランチボートのしつらい
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館内でポップコーンやコーラを買って飲み食いすることもできて、水槽はとてもきれいですが、日本の水族館に見られるアカデミックな感じがゼロです(英語の説明文を読んでないだけかも…)。レジャー色がすごく強くて、なんと大水槽でグラスボートに乗れたりできちゃうのである。
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ガイドはタイ語または英語だと聞いていたが、日本人だけまとめて乗せられたな…と思ってたらガイドさんが「サバデス」とか言っていた。すごい企業努力や…
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水族館の場合は普通に見るほうがよっぽど鮮明なわけで…すごく面白いものが見られたわけではないのですが、水族館でグラスボートというのはなかなかできない体験で、ちょっと楽しかったです。
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参加方法がわからなかったのだがコレもやりたい!
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「こういうお勉強感ゼロなのもたまにはいいですな〜」
なんか全体的にこういう意味のわからないデザインが多い。

京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所水族館(京大白浜水族館)

公式HP:http://www.seto.kyoto-u.ac.jp/aquarium/

総水量* 470t
展示点数* 500種

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とか言いつつ、最後にアカデミックさ全開の水族館をご紹介するとこがいやらしいですね。
温暖・風光明媚であることで知られる南紀白浜にある京都大学の研究施設です。ホームページによれば、白浜周辺に住む魚と無脊椎動物にこだわった展示をされているそうです。
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サメなど大型魚類の水槽もありますが、こちらの小部屋に収容された無脊椎動物のみなさんが白眉です。どうぞ!
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「…わたしのエビを食べてるとこ見たいの?」
うおおおおおおおおおおおおお
クリーチャーへの愛がいま最高に試されとる!!!!!
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一服の清涼剤:セミエビアパート
岡本太郎も「芸術とはここちよくあってはならない!『何だこれは』というものでないと!」って言ってたし、薄暗い建物の中でバラエティに富みすぎた無脊椎ちゃんたちを見ていると何かに目覚めそうになるのでオススメです。家の地下にこんなんあったら癒されるだろうなあ…


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水産物好きなみなさんに白浜でぜひ立ち寄っていただきたいのは本覚寺(通称:貝寺)。海辺のお寺として昔から近所の人々に貝の寄進を受け―ってすごい飛躍がある気がしますが、当時の住職が貝好きだったんでしょうね―寺宝のホンカクジヒガイをはじめとして、小さなお寺の中に約1,000種の貝が展示されています。
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こんな高級感のある貝見たことないわ…
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お寺に貼ってあった標語。わたし、けっこうパソコンと友達やで!この記事も6時間ぶっとおしで書いたしな!(何人ついて来れてる〜??)


そんなわけで水族館が大好きなわたくしです。もっと全国の水族館をめぐりたいと企んでいるのですが、アクアマリンふくしまの22万種の魚類がこのたびの被災の影響により、ほぼ全滅したというニュースはとてもショックでした。

ネットでの旅行記を見るととても素敵な水族館だったことがわかります。アクアマリンふくしまの超粘着なレポートを一日でも早く書けるように、被災地全体への募金等していきたいと思います。

*1:さいしょ千葉って書いてたのですが、ご指摘を受けて直しました…葛西と千葉のみなさんに陳謝します

*2:研究分野においては継続的に高い業績を残してるみたいです

*3:これも最初「佐伯」って書いていたので直しました。臼杵と佐伯の区別があやふやで陳謝いたします…