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メレンゲが腐るほど恋したい

旅行記や生きものの話を写真多めの長大な記事で送ります

「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」東京都現代美術館

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いろいろと物議を醸していた企画展ですが、わくわくして脳みそに涼しい風が吹くような展示だった!
「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」は都現美の夏休み企画展で、ヨーガン・レール、おかざき乾じろ、会田家(会田誠、岡田裕子、会田寅次郎)、アルフレド&イザベル・アキリザンの作り出した4つのスペースをめぐりながら「○○はだれの場所?」と考える、というもの。www.mot-art-museum.jp

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清澄白河から都現美に行くときって、いつも暑くて死にそうになってる。徒歩13分くらいかかり、日陰は一切ない…。
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展示室前にベビーカーがずらっと並んでいた。
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あっ、きかんしゃトーマス目当てのお客さんも多いのかな…

「地球はだれのもの?」ヨーガン・レール

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昨年急逝したテキスタイルデザイナーのヨーガン・レールは、「地球はだれのもの?」と題して大量のプラスチック漂着物を使ったインスタレーションを行っている。
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圧巻なのは、この明かりの国みたいな部屋!
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漂着物やシーグラスを使った作品ってけっこうあるんだけど、そのほとんどは「あっ、ゴミからゴミを再生産したんですね」という出来になってしまうのに…。やっぱりセンスの差ですね。
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かわいすぎるだろう…
いちおう環境破壊がテーマになっていて、「石垣島で年の三分の一を過ごしているうちにゴミの多さに対して憂えるところがあり、この展示を…」というようなことが書いてあるんだけど、漂着物愛しか伝わってこないので説得力がゼロです。嫌いなものをこんなに偏執的に色合わせできません!ビーチコーミングも好きな者として「つまらないゴミが海に一度飲みこまれると、ザラザラしたふしぎでかわいいものになって帰ってくるのが大好きなんだろッ?!正直に言えッッッ」と思った。
ヨーガン・レールのお店ってこの展示みたいにお洋服の色目がきれいなのでつい近づいていってしまうんですけど、お値段がなかなかなのとわたしには似合わないので買ったことないですね。

「美術館はだれのもの?」岡崎乾じろ

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岡崎乾じろの策になる「美術館はだれのもの?」は、子供以外立入禁止のエリアです。
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この文章いいですね。ピカソのところとかドキッとする。「まるで、「芸術はわからない」のが自慢みたいです。」
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4つの空間の中で、親子で見に来る意義がいちばん高いのはこの部屋なのでは。親は帰ってきた子供から、作品についての説明や感想を受けるわけです。で、それがたぶんぜんぜん要領を得ない説明だったりするんだろうけど、意外と鋭いことを言ってるのかもしれない。親から正解をもらうことはできないから、子供は「美術館はひとりで作品と向き合う場所」だということを、おそらくはじめて理解する場所になるだろう。
大人だって、「美術館はひとりで作品と向き合う場所」だと分かってる人、すごく少ないですけどね。特に現代美術でない美術の展示に行くと、大声で「こんなの俺にだって書けそうなんだけど(笑)」と同行者と言い合うような大人たちのマナーの悪さにドン引きだよ…ブツブツ

「社会はだれのもの?」会田家

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会田家の部屋がいちばん混雑していた。見るのに時間がかかる映像作品が多めで、作品の数も多い。
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問題の「檄」。美術館友の会の会員からのクレームを受けて東京都現代美術館が作品の撤去を決定し、会田誠がそれに対する声明を発表したことで話題になりました。

  • 経緯について、両者の言い分がいちばんまとまっていると思われる記事

変更なく展示続行決定、会田誠さんと東京都現代美術館に「撤去要請」問題について聞いてみた|会田誠さん「これでやっと静かに作品を鑑賞してもらえるかと思い、ひとまず安心しました」 - 骰子の眼 - webDICE

  • 会田誠の声明文

http://m-aida.tumblr.com/

会田さんの説明にもあるように、書いてあること自体はむしろ平凡でちょっと間が抜けているというか、子供を持つ家庭では日常的に話し合われていそうなぼやきの集大成。これに物言いがつくだけでならまだしも、美術館が撤去を決めるというのがちょっと信じがたい…(館側はあくまで「相談」しただけだと主張している模様)。
美術館という場所は今だれの方を向いているのかとか、作家といっしょに企画展示を行った学芸員のかたの気持ちなどを考えると、ほんとに心が暗くなる。悪い意味で「ここはだれの場所だよ…」と思ってしまう。
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岡田裕子の「からだあやとり」とか、
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「愛憎弁当」という映像作品も面白かったです。上の場面は、料理研究家夫婦が世界の紛争と壁と友好を象徴するお弁当を作ってるところ。


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吹き抜けの廊下から見えるのは、ニーマイヤー展の一部(こっちは入場していない)。

「私の場所はだれのもの?」アルフレド&イザベル・アキリザン

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アルフレド&イザベル・アキリザン「私の場所はだれのもの?」は、都現美のホームページ等にあった写真と比べるとかなり小規模なこともあり、正直ちょっと印象が薄い。量で圧倒されたいタイプの作品だと思うのです。
理想の家をラクガキするコーナーがあり、家探ししている身としてはよし、ここでワイちゃんの理想のマイホームを…!と一瞬思ったけど時間がなかったのであきらめた。


全体として「きかんしゃトーマス」的な意味での「子供向け」ではない。すべての親子が楽しめる!とか、ここなら子供が夢中になってお父さんお母さんがちょっと息をつける!という保証はなく、好みが分かれると思う。見る人をトンと突き放したり、二度見するようなものがあるという部分を含めて、すごく気合いの入った楽しい展示。
こういう展示で、図録がないのはとても寂しいところです。あとから親子で図録をいっしょに読んだりして気づくことも多いと思うんだけどな~。


(flickrの写真は非公開設定にしています。会期終了後にフォトセットを公開設定にする予定です)