沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

修験道行者の宿場町でみかん山モノレールに乗る

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吉野観光をしたあと、秘境・天川村に向かいました。天川村には「近畿の屋根」と言われる大峯連山があり、山岳宗教のメッカとも言える場所です。名水をはじめとする豊かな自然と歴史にひかれ、年間80万人の観光客が訪れます。
吉野山を下りて近鉄電車で20分弱、下市口(しもいちぐち)駅から奈良交通バスで天川村の洞川(どろがわ)地区まで80分の道のりです。
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バスには数人の登山客と地元の人らしきおばちゃんが一人。疲れが出てほとんど寝くたれていましたが、終点手前で目をさますとおばちゃんが黒酢のアメを配りまわっていたのでありがたくいただきました。

修験道行者を癒す宿場町・洞川

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洞川は修験道の聖地・大峯山のお膝元にあり、これから修行に挑む人や下山してきた人が逗留する温泉地として古来より栄えてきました。行者通りには由緒ある温泉宿(創業500年の旅館もあるとか)や、役行者の弟子の後鬼が伝えたダラスケ丸を売るお店が建ちならびます。
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洞川を見下ろす山上が岳の威容と、日に干された旅館の色とりどりのザブトン。五月に入ろうというのに梅が咲いているおそろしい厳寒地です(大阪市内と5度の気温差があります)。地元の人も「このまえ雪が降ったのヨ」って言ってました…。
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「古い温泉宿に泊まりたいワァ」と思いつつ、お金がなかったので一泊3,700円〜と激安なゲストハウス「一休(ひとやすみ)」にしたのですが、建物もきれいでオーナーさんもとても親切で、泊まってよかった!何よりありがたいのは自転車を貸してくれたこと。洞川地域をめぐるなら、断然レンタサイクルがおすすめです*1
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日が暮れるまでに村内散策、と自転車を大峯山のほうに走らせてみました。5月3日の山開きにあわせて山門起工の護摩供養があり、お祭りの準備をしているみたいです。山上が岳に登れないわたしは山開きをまったく気にかけていませんでしたが、山開き以降は観光客がドンと増えるので直前に来たのは幸運でした。

町でうわさの天狗の子」みたいな雰囲気やなァ…(天狗が普通に信仰されている町で、天狗と人間のハーフの女子高生が「修行して毛がゴワゴワの天狗になるなんて…」と将来に悩んだり青春するマンガ。おもしろいよ!)
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山上川のほとりにある「蟷螂の岩屋」は、修験道の人が修行する場だったらしい。時間が遅いせいかいつも閉まっているのかはわかりませんが、入ることはできませんでした。
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これは龍泉寺の水行場。山上が岳のほうの行場では逆さづりになったりする荒行もあるようで、なかなかマゾッホです。しかし何十年も会社と家を四時間かけて往復し、給料を運びつづける苦行に比べれば、少なくとも新鮮味があるといえるのではないでしょうか。
下のなで石は、よくある「なでると軽くなり、ぶつと重くなる」石ですが、わたしに分かるのはずっとなでていたいくらいスベスベであるということだけです。
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洞川温泉センターに行ってみたら休館だったので、温泉宿のひとつに飛びこんで日帰り入浴しました。吉野山を歩きたおした疲れがとれまくり!
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遊びまわっていたらすっかり暗くなってしまいました。温泉街の明かりがきれい…

大峯山の女人結界

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翌朝はまた自転車を駆って山上が岳の方へ。とはいえ、山上が岳には女人結界がありますのでそこまでです。途中には母公堂というお堂がありますが、これは役行者の母が心配して葛城の里からやってきたところ、八大竜王に「今な、役小角はいちばん大事なときなんや。せやからここで待っとってナ」と言われた場所です。石柱に「従是女人結界」とあるのでアレ?ここまでなの?と思いますが、1971年に道路事情がよくなったことなどをうけて結界が延長されたそうです。なのでもうちょっと奥まで入っていきます。
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コレが今や日本唯一の女人禁制の山・大峯山山上が岳の結界です。たまに「女人禁制は女性差別だ!」という考えの人が突破したりして騒ぎになっているようです。わたしは無理に登山したい感じじゃないので突破とかはしませんが、洞川が昔は精進落としの遊郭でもあったという話などを聞くにつけ「『とにかく女(カーチャン含む)のことばっかり考えちゃって何も手につかないノー』って感じなんじゃないの…」と思ってしまうのでした。
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それにしても自分が入れない場所っていうのはちょっとワクワクしますね。門にトゲとかついてるし、きっと24時間監視されていて一歩踏み入れたらビームで焼かれたりするに違いない。


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入れないところにいつまでもいても仕方ないので、名水で名高い「ごろごろ水」のところまで下りてきました。有料の駐車場に車をとめて採水するシステムになっていて、大きなポリタンクに水を汲んでいる人もいます。名水っぽい地を訪れるたびに、水オタとでもいうべき人々の執念には驚かされます。
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わたしはきれいな川は好きですが名水にはそんなに興味がないです。急いで下りてきたのは、「ごろごろ茶屋」で「五代松鍾乳洞モノレール」9:30始発の予約をするため。
ごろごろ茶屋の向かいの山の中腹にある鍾乳洞には、このみかん山モノレール(定員4名)で行かなければならないので、休日にはすぐに予約でいっぱいになってしまいます。しかし図を見るかぎり、鍾乳洞はしあわせの対極にあるように見えますが大丈夫でしょうか…。


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待機中のみかん山モノレール。ヘルメットをかぶって乗らないといけません。
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いよいよ出発!
前のノーヘルの人は鍾乳洞の説明をしてくれるスタッフさんで、いわば出勤中です。つまり始発は定員3名ということで、実はこのモノレール、かなりのプラチナチケットなのではないか。
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そしてこの坂、ものすごい傾斜がついてるんですが…座席にシートベルトとかもないし、なんでこんなもろそうなレールで運搬できているのかわからず、かなりの恐怖感があります。
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5分で鍾乳洞前につきました。これから20分弱で鍾乳洞案内をしてもらえます。
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中は普通の鍾乳洞ですが、天井がかなり低いところがあり、3回ほど頭をぶつけたのでやはりヘルメットは必要だと思いました。
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鍾乳石にいろいろ無理からな名前がついているところもオーソドックスです。この石に名前がついていないことはちょっと解せません。
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お迎えのモノレールがやってきました。


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ゲストハウスに戻りチェックアウト。山上川で釣りをする人を多く見かけます。
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ここはヤマメ・アマゴなど清流ならではの魚釣りスポット。あとニジマスが気持ち悪いくらいたくさんいます。焼いた川魚やごまどうふを食べられるお店もあるので、酔ってみるといいですよ!
旅はひきつづき「町を一望しながら食べる空前絶後の美味わらびもち」「遭難の一歩手前で見たカモシカの死体」「円空仏いっぱいの観音堂と芸能人に大人気の弁財天」の三本立てでつづくのですが、書いてるわたしも読んでる皆さんも疲れてきているので別の記事であげたいと思います。

*1:その他「サイクルセンター洞川」というレンタサイクルショップもあります