沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

瀬戸内に浮かぶモダンアートと猫の島「直島」に行ってきた

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全国三千万人の文化人のみなさまこんにちは。瀬戸内海の島が好きすぎることでおなじみのわたくしメレ山が、今回は瀬戸内海、いや世界きってのオシャレアート島・直島に行ってまいりました!

ベネッセアートサイト直島

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ベネッセアートサイト直島(公式サイト)
かわいさゼロの猫科動物が乳幼児に人間になるための基本テク(トイレ・ハミガキ等)を叩きこむという理不尽な内容のDVD・「通信教育で勉強・恋愛・部活が全部うまくいく」という札束風呂なみのうまい話が綴られた謎のまんが冊子等で有名なベネッセが、瀬戸内海の島を舞台に様々なアートワークを行っているのが「アートサイト直島」です。
岡山駅から茶屋町を経て宇野駅に着くと、駅前に魚介生物がはりついたシュールな棒が立っており、「これがアートか…」と思いましたが、特に直島には関係ないようです。アートには違いないのだろうが…。
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宇野港から直島へはフェリーで20分ほど。
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瀬戸内海は工業っぽい要素もふんだんにあっていいよねー
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宮浦港が見えてきた!あの赤いのは…
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直島のシンボルのひとつ・赤いかぼちゃだ!

直島の玄関・赤いかぼちゃ

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こちらが直島の主な玄関口・宮浦港の「海の駅なおしま」。
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海の駅の前の波止場は芝生の広場になっています。
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これが草間彌生の作品「赤いかぼちゃ」です。ちなみにわたし、モダンアートとか前衛とかまったく詳しくないので文脈に依らないにも程がある感想しか出てきません…。
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ヘタもブツブツ
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高円寺の駅前とかにあったらイラッときそうだが瀬戸内の島にあるとかっこいいワ!

宮浦の新感覚銭湯「I ラブ 湯」

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まずは荷物をおきに泊まる予定の民宿へ。宮浦港から民家の並ぶ路地に入ると、いきなりマッドな建物が出てきました。
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7月末に完成したばかりの大竹伸朗の「I ラブ 湯」なるアート銭湯です。一般500円・島民300円で入湯できます。
直島に来るまで大竹伸朗のことを「おおたけのぶお」と心中で適当に呼んでいたメレ山の感想「下北沢とかにあったらイラッときそうだけど瀬戸内の島にあると楽しい感じだワ…」
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ちなみに泊まったのはアイラブユーから一分ほどの「志おや」という民宿*1
わたしは直島というとけっこうなお値段のベネッセハウスしか宿泊施設がないとなぜか思いこんでたのですが、素泊まり3千円代からの民宿やゲストハウスもいっぱいあります。志おやさんは一泊二食で6,500円くらいだった。ごはんも派手ではないけどカンパチのお刺身、香川名物のしょうゆ豆、ままかりなど、瀬戸内っぽいものが出ておいしかった!

夕暮れの黄色いかぼちゃはジューシー

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着いてから宿のごはんまで中途半端な時間があったので、バスに乗って黄色いかぼちゃのある積浦エリアに出かけてみた。これは我ながら英断だと思いました。
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波止場とかぼちゃがこんなに合うなんて…
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もはやかぼちゃがない風景が想像できないほどの存在感!!!
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黄色いかぼちゃはベネッセハウスの目の前の海岸にあって、もちろん大人気なんだけど、海に突き出しているのでわりと簡単に無人の写真を撮れます。まわりの人たちが「これがあの有名なかぼちゃ…」と思いながら空気読みつつにじりよっていく→交替でかぼちゃとの写真撮影会がはじまる→満足して去っていく の繰り返しになっていた。
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さらに陽が落ちてくると、浜に埋められたライトからさりげない光があたってあやしく艶めくかぼちゃ
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このかぼちゃのヘタは一度もげてなくなってしまい、作り直しを検討していたところ、波間にプカプカしていたのを漁師さんが「これってアレじゃないかな?」と拾って持ってきてくれたそうです。
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かぼちゃの写真ばっかり貼ってゴメン…どんな色の海にも合ういい黄色をしているなー

直島の夜

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民宿に戻ってごはんを食べてから銭湯に行った。
内部も内部で、カランの透明な樹脂の中にコラージュのモチーフが封入されていたり、サボテンや多肉植物がわんさかあったり、やけにはっきりした女性器をもつ象のサダコが男湯と女湯の間の壁の上を歩いていたり、浴槽の底のタイルに枕絵が描いてあったりする。わたしの選んだシャワー台の下のタイルには「牝犬」って書いてあった。
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内部は撮影禁止なのでポスターをおいておきます。
銭湯から出ると、島の案内ボランティアのおいちゃんがいたので少し話をしました。
メ「連休明けをねらって来たのですがそれなりに人が多いですね〜」
お「いやー、シルバーウィークはこんなもんじゃなかったね。わしらにはアートとかよくわからんけどもうすごい人気で、外国からもたくさん来てくれるし。お風呂楽しかった?」
メ「いろいろ細工があってけっこう見飽きないモンですね」
お「ちょっとエッチだけどね!」
メ「ちょっとエッチですよね!」
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浴衣にペットボトルと一眼をさげてフラフラ港に歩いていくと、赤カボチャが発光していました。

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家プロジェクトと猫プロジェクト

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翌朝は本村(ほんむら)地区にバスで向かって、家プロジェクトをまわりました。集落に点在する古い建物をモダンアートの人がいろいろアートスペースとして使っています。「きんざ」は要予約なので、それ以外の6スポットを共通入館券1,000円でまわれます。
島全体の交通についていえば小さい島なので、バスじゃなくてレンタサイクルでも大丈夫。でもバスが一回100円でかなり便利だし、けっこう起伏があるから大変です。

南寺

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光を使った作品で有名なジェームズ・タレルの「南寺」。昨夜おいちゃんから「南寺はすぐ整理券出るから朝イチがいいよ」と聞いていたので、朝10時の開場待ちをして一人で観賞しました。自分の手も見えないすずしい闇の中で五分ほど待っていると何かが起こる!

はいしゃ

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これも大竹伸朗の「はいしゃ」。家プロジェクトは屋内撮影禁止なんだよねー。混んでる中ででっかいカメラ振りまわされたくないとか、ヘタクソな写真でよけいなイメージつけられたくないとかいろいろあるんでしょうが…。

護王神社

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島の小高いところにある神社。階段が透明の素材になっている。
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懐中電灯を持って神社の下の石室に入ると…「そういうことかー!」感は家プロジェクト中最大かもしれない。
他にも精巧な木彫りの椿が畳に散らされた「碁会所」、古い民家の水の中で島民が思い思いに設定したデジタル数字が光る「鍵屋」があります。鍵屋が予想以上にきれいでよかった。
いっぱい作品があるので楽しかったりかわいかったりびっくりするものから「うーん…」と思うものまでいろいろで、「うーん…モダンアート難しい…ハッ!『モダンアートだから何かを感じなきゃいけない』というこの思いは村上春樹を読んでいるときに感じる暴力そのもの…メレ子しっかりして!」みたいな気持ちによくなった。
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作品になっていない普通の民家がすごく感じが良くて、国内のいわゆる城下町や風情を売りにしている観光地よりぜんぜんよかった。これは外国の人にはたまらんじゃろうて!
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猫もたくさんいる。暑いのでみんな日中は死んだように寝てました。

ベネッセミュージアム

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またバスに乗って黄カボチャを通過し、ベネッセミュージアムへ。
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写真に撮れるものといえば、このスベスベした石の上に寝転がって切り取られた空を眺めることができる「天秘(てんぴ)」くらいしかないのですが…。
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地中美術館

ここに至っては、下の受付で係の人(スタッフはみんな白衣みたいなユニフォームを着てて非現実的でかっこいい)に「カメラはコインロッカーに預けていってくださいね」と言われるのでまったく写真はない。
安藤忠雄の設計による地下三階建ての美術館。いたるところに空を切り取って採光する仕組みがあるためか、あまり息苦しい感じはしません。コンクリート打ちっぱなしなのにすごく神殿っぽい。神官はしょちゅう迷いこんできてるバッタやイナゴたち…。
ジェームズ・タレルやウォルター・デ・マリアの作品がいっそう神殿っぽさを高めてました。靴を脱いで観賞するモネの睡蓮の部屋もすてきだった!
全体的に「触らないでね」「写真撮らないでね」というものが多いので、写真好きだとけっこう欲求不満になるのですが、銭湯もできたことだし触り放題ダイブし放題、みたいな作品が今後増えていくんじゃないでしょうか(単なる希望)。


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ごらんのように一泊二日でけっこう回れちゃうのですが、次は「きんざ」や同じベネッセのプロジェクトである「犬島精錬所」も予約して行きたいし、やっぱりベネッセハウスにも泊まりたい!特にモダンアート好きじゃなくても何も考えずに楽しめる島だと思います。ゆっくり観賞してナンボのものが多いので、なんとしても人が少ない日を狙っていったほうがよさそうです。


直島 -a set on flickr-

 

*1:こういうかわいい暖簾を島内であちこち見かけます。これも加納容子という人の作品