先日、4年弱使ったauの分厚い携帯を解約しようとして「誰でも割の解約料が9975円かかりますがよろしいですか?」との返答にあごをはずしたメレ子です。基本料がお安くなるプランは自動更新されて解約条件が制約されてしまうので、拘束のタイミングを把握してないと危険!みんなはメレ山のような情報弱者にならないよう気をつけて…*1。「二年の年季が明けないと、請け出されることもままならぬ…これではまるで携帯界は置屋システム!」と考えていたら、遊郭の建物を使った料亭に行ってきたことを思い出したのでご紹介します。
大阪・飛田新地の中に建つ料亭「鯛よし百番」。ちなみに飛田新地はかなり濃い雰囲気の歓楽街で、鯛よし百番よりも百番への道に建ちならぶ、ピンクのぼんぼりを灯したお店が今も遊郭的機能を残しています。上がりかまちに座布団が敷いてあり、髪を高く結い上げたお姉さんが座ってライトアップされていました。お姉さんがまぶしく美しいので思わず目を奪われそうになりますが、客でもない人にジロジロ見られても嬉しくはないでしょうから、カメラはバッグにしまいこんで歩きました。
(「鯛よし百番」で検索すると、付近の治安について警告しているページがいっぱい出てきますので、もし不安なら駅からタクシーを利用されるのもいいかとは思います。わたし自身は特に危険を感じることはありませんでした)
そうしてやってきた百番の玄関。実際はササッと部屋に通されてしまうため、玄関近辺の写真は帰り際に撮ったものです。
靴を脱いでいると、左手のあやしい空間に目を奪われる。こちらが話に聞く顔見世だそうです。
ここに女性たちが並んだのかと思いきや、大正時代の創業なので写真がずらっと並んでいてそこから指名するシステムだったみたいです。少なくとも当時はフォトショップ問題はなかったことでしょう。でも画質は不鮮明だったかも。そして襖絵の傷みっぷりがすごい。
正面に目を転じると、これまた異世界!
部屋の中になぜか陽明門が。わたし、日光東照宮には二回行ったことがあるけど、まさか大阪で再会することになるとは想定外すぎる…。
眠猫までいる!そういえば本物はセコくも別料金なので見たことなかったワ…ハジメマシテ〜!
奥からは天女さまがさし招いてくれています。どうやらこちらは応接間みたいです。
天井には龍の絵。
「楽しんでいってね〜」
もはやこの雰囲気にアテられて夢ウツツです…
ロの字型の中庭にはご丁寧に太鼓橋までかかっている。幇間と粋な縞の着物を着た若旦那が渡っていきそうな雰囲気!大正時代の遊郭であるにも関わらず、杉浦日向子の江戸漫画に出てくる遊郭をイメージしてしまいます。
二階につづく階段も橋を模している。
通されたお部屋はこちら。入り口の横に井戸があります。朝の手水に使っていたのかな。
いたって普通というか、ちょっと殺風景。二階はいくつかに仕切られていて、規模は部屋それぞれに異なるみたいです。
寄せ鍋を注文。今はぐるなび等にも登録されているいたって普通の料亭なので、4千円くらいから飲み食いできます。お味も非常に普通。お店側に古い歴史とかいわれとかを特別言い立てる要素は皆無で、鍋をつついてると他の部屋の宴会の声やスタッフの世間話が筒抜けです。
自分の部屋だけじゃもったいないので、抜け出して他のお部屋も拝見に行く。
階段の上の壁の模様がオシャレ。
これは待合室かな?
中庭を見下ろすと、当時のヤンヤヤンヤの騒ぎが聞こえてくるような気がする。
宿場町を模したお部屋。
ちょっと落ち着いた感じの草木が描かれている部分もある。接待やホモソーシャルな密談など、趣旨に応じてお部屋を使い分けたりしてたのかなあ。
十二支の置物が置かれたよくわからない空間。
この微妙に間違ったいろんなモチーフが詰めこまれてて、強烈な非日常感およびあと一歩…二歩も三歩もノリきれない感じがラブホテルと共通。
もう一つの階段の壁には異人さんとお大尽が女性をはべらせてお月見をしてる絵が。といってもだいぶ新しいものっぽい。
トイレの中までゴージャスな装飾がしてありました。とにかく正気に戻さずパーッと遊んで帰ってもらわなきゃいけないわけで、大人のディズニーランドを維持する苦労は並大抵ではありませんね…。
とにかく今はあちこちボロッボロなのですが、楽しい色彩感や過剰な装飾から当時の面影を想像して楽しむことは十分に可能です。有形文化財に登録するだけじゃなくて、もっとちゃんと保護したほうがいいとは思いますけどね。
- ジャンル:居酒屋
- 住所: 大阪市西成区山王3-5-25
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- (写真提供:りきちゃん)
*1:ちなみに二年ごとの節目の一ヶ月間だけは解除料はかからないそうで、五月にいいタイミングで解放されます…