沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

きのこの祭典「キノコナイト Vol.4」@東京カルチャーカルチャーに行ってきた

森のあやしい住人・きのこ

みなさん、きのこって好きですか?見るのが?それとも食べるのが?
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わたくし、最近はすっかり虫好きブロガーのようですが、虫を探しに行くと見過ごせない存在がきのこなのです。
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( ^ω^)<ここにブナの倒木があるじゃろ?
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( ^ω^)<木の皮をめくると…
( ^ω^)<なめこじゃ
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セミに寄生する蛾を探しに行ったときに見つけたササクレシロオニタケ。
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高尾山にあったダラダラと汗を流す謎のきのこ。
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これはきのこではなくて、アメーバみたいに移動する動物的な性質と、子実体を作って胞子を拡散するきのこ的な性質を併せもつ粘菌(変形菌)。にぎやかなことになっています。
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虫を殺してその養分で育つ冬虫夏草も。ハエの蛆にとりついたマユダマヤドリバエタケです。
そんな感じで、きのこも虫同様になかなか気になる存在なのです。長野在住のグラフィックデザイナー・とよ田キノ子さんは、きのこの多様な魅力を世間に広めるための「胞子活動」をされています。3/21(金)、いや3/21(菌)、お台場の東京カルチャーカルチャーというイベントスペースで開かれた『キノコナイト』に行ってきました!

見て、食べて、愛でて、研究してよし!なきのこの魅力

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17:00開場・18:00開始だったのですが、着いたのがギリギリすぎてほとんど満席でした。スタッフに空席に案内してもらうと、席にはマツタケのストラップ。そして、「もっときのこを食べようプロジェクト」によるきのこ啓蒙チラシが。
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フードとドリンクオーダーをすることにします。メニューもきのこづくし!なんか怒張した外国のきのこの写真がついている。
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エリンギトニックといろいろキノコのクリームシチュー。まわりのみんなが飲んでるオシャレなドリンク、気づかなかったけどエリンギだったのね…青色何号的なものに染まったエリンギの断片が入っている。いろいろキノコのシチューは、キノコのだし全開でおいしい!
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開幕のご挨拶をされるとよ田さん。ギリギリに着いたので、ステージや大スクリーンが見られない席になってしまった…。
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豪華ゲストのみなさん。向かって右からきのこ写真家の新井文彦さん、菌類研究者の白水貴さん、漫画家の日高トモキチさん、そしてとよ田キノ子さんです。


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席は悪いけど、小さいモニターがあるので安心。まずは阿寒湖できのこを追っている新井文彦さんのトーク。緑に染まった世界に浮かびあがるきのこの写真が惜しみなく登場します。ベニテングダケの菌輪(フェアリーリング)、一度見てみたいな~
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阿寒湖に打ち寄せるマリモの大群。マリモは毎年、湖畔に打ち寄せられては崩壊して湖底に戻っていくサイクルになっているんだそうです。
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ゲストのお話の幕間に挿入される、謎のきのこ「なめじろう」によるテレビショッピングVTR。すごい口のよく回るきのこで、会場にも巨大な着ぐるみが来てました。ヌメヌメのなめじろうと写真を撮ると胃の粘膜が強化されるらしく、絶対に撮りたいと思ったのに撮りはぐれた…。


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菌界が誇るスイートボイスの持ち主・白水(しろうず)貴さんによる「日本珍菌賞」の紹介。

日本珍菌賞 - 菌学若手の会
【日本珍菌賞の設立】
珍奇な生物は純粋な驚きを我々に与えてくれます.類まれな多様性を誇る菌類にも珍奇な形態・生態を持つ種類がたくさんありますが,残念ながらそのほとんどが日の目を見ることはありません.これらの隠れた珍菌たちを発掘し,この感動をより多くの人々と共有することで,菌学の普及に繋げたい.このような動機から,珍奇な菌類,「珍菌」の日本一を決し,これを表彰する「日本珍菌賞」を設立することにしました(日本菌学会の公認ではなく菌学若手の会の間借り企画です).

【珍菌候補の募集】
日夜菌類と戯れている皆様,「これぞ珍菌」という菌をご存知でしたら,その情報をTwitterやFacebookで流してください.お一人何点でもかまいません.むしろ大歓迎です.Twitterでつぶやかれるときはハッシュタグ(#珍菌)をご使用ください.晴れて日本一となった珍菌の発見者(発表者)には栄誉ある「第一回日本珍菌賞」を贈呈します.

皆様の"推しメン"ならぬ"推し菌"の情報をお待ちいたしております.

Twitterで行われていた珍菌賞の様子をわたしも見ていましたが、ひとつとして普通のきのこは登場せず、菌という生きものの奥深さを感じさせる内容でした!わくわくした!
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第1回珍菌賞を受賞した栄えある菌たち。怒張したきのこ!
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木の病気!!八丈島でのみ確認されている奇病です。
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微小な生きもの・トビムシのオスは自分の精子が入った精包をドーンと地面に打ちたて、メスがあとでそれを回収するという、ビンに入れたラブレターを海に流すかのようなおくゆかしくも不思議な交尾をします。この「メスに拾ってもらえなかった精包」にのみ寄生して精子を食べる菌、それがエニグマトマイセスなのです。
この珍奇な菌の生態を解明した研究者の功労を讃え、筑波大の出川洋介先生に副賞として「南方熊楠の3Dデスマスククリスタル」が授与されたそうです。

戦慄のきのこムービー

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前半と後半の休憩時間に、物販コーナーにダッシュ。
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新井文彦さんとヒグチユウコさんのポストカード、ヒグチさんのキノコのマスキングテープを購入。
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会場のあちこちに、編み師の203号さんによるきのこや妙な生きものたちがひしめいてます!「夏の昆虫大学でも編んでください!」とお願いしてしまいました。
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なめじろうの巣。
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もっときのこを食べようプロジェクトさんの「もじっこしいたけ」。
会場には奇譚クラブさんのきのこストラップのガチャガチャもありました(席にひとつずつあったのは、奇譚クラブさんのストラップ)。わたしはベニテングダケが欲しいんだけど、まだキヌガサタケとマッシュルームしか当たってないんだよね~。

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後半は日高トモキチさんによる「特撮の中のきのこ」。
おなじみ(おなじみ?)の『マタンゴ』にはじまり、仮面ライダーや戦隊ものに登場してきたきのこ怪人たちを紹介。「味方の側に登場するきのこはいませんでした」という…。

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そして最後に、とよ田さんによる幻の超低予算きのこ映画『恐怖!キノコ男』のダイジェスト上映です。これが本当にすばらしかったね…。
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左のサイラスは、パパとママと同居して地下室で長年謎の研究を続けているマッドサイエンティスト(白水さんにちょっと似ている)。彼が「サイラスあなた疲れてるのよ…」と静養をすすめられ、完成した謎の薬を持って向かったペンションで事件は起きる。
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試験管で薬品をミックスするなど、ねるねるねるねもびっくりの斬新な方法で作られる謎の薬。サイラスは「僕はやりとげた」とめっちゃ嬉しそう。しかし、サイラスはペンションの階段を登るときにガタリとコケてしまい、スーツケースからこぼれたねるねるねるねは床下に都合よく生えていたマッシュルームにかかる。その後、ペンションの客とペンション近くの湖畔にサバイバル番組の収録に来た軍人などを巻きこんで大変なことになるのだった。
執拗なだけで技術ゼロのカメラワーク、どう見てもNGなのにリテイクしてないシーン、死体やキノコ怪人がカカシなみの工作、「ガラスを割るのがもったいない」「キノコ怪人をたくさん作るのダルい」という意思しか感じないすごいCG、中学生でもいまどきもっとすごい映画撮れるやろうという感じなのですが、リビングでみんながキノコに関するいやな思い出(キノコ農場を売ろうとして大損したとか)を語るシーンなどに妙なこだわりが感じられてよかった。あと終始目玉をグルグルさせてニヤついているサイラスの顔芸がすばらしい。キノコ怪人の弱点はバルサミコ酢で、最後はペンションの地下のバルサミコ酢の樽に導火線を引いて怪人たちを一掃するのですが、バルサミコ酢は引火物ではない。


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終幕後、監督お手製のキノコ怪人ミニ(劇中にもマジでこのレベルの工作がたくさん登場している)とツーショットの白水さん。どう見てもサイラスやー!マッドサイエンティストやー!!


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そのまま会場で行われた打ち上げにも参加させてもらいました。参加者がお持ちになっていたこのヤコウタケのライト、とってもかわいい。本物のヤコウタケもまわして見せてもらったりして、やっぱり愛好家が集うイベントって楽しいなー!と実感したのでした。参加者のみなさんが着ていたきのこにちなんだ服やTシャツもかわいいものばかりだった!虫でもこんなイベントができたらいいなあ。4回目でこの濃さって、とよ田キノ子さんの手腕がすばらしいです。


ちなみに、ニコニコ学会βでの虫セッションやきのこセッションについて、とよ田さんと白水さんとの鼎談が『月刊ニコニコ学会β』に掲載されています。2013年12月に開催されたニコニコ学会β・第5回の総まとめ的な内容ですので、よかったら読んでみてください!


キノコナイト - a set on flickr