ゴールデンウィークは6泊7日で「長崎・ガチな島めぐり」を敢行しました。壱岐・対馬、五島列島、軍艦島にも次々と渡り、海外に行くよりだいぶサイフに痛い旅行となりました…(ペーパードライバーだから)
初回は九州の北の玄界灘にある壱岐島特集です。大陸との通称の歴史を感じられる一支国博物館と原の辻遺跡サイクリング、海岸の奇景や砲台の廃墟、イルカパークに謎の神社などなど、壱岐を丸裸にする内容となっております。
日本と大陸の架け橋を電動自転車でサイクリング
壱岐と対馬への海路は、福岡・博多港と長崎・佐世保からの選択肢があります。今回は飛行機の福岡便が安かったこともあり、博多入りを選択。ジェットフォイルでは「春に対馬海流を上ってくる大型海洋生物との衝突のおそれがあります」と注意を受け、逆にふくらんでしまう夢…近いところでは「地球温暖化するとこんな生物が日本に居着いてしまいます」系のポスターとかもいけない夢がふくらむ系ですよね…
ジェットフォイルの着く芦辺港から、宿のある郷ノ浦港までタクシーで3千円、早くも涙目ですが、郷ノ浦の観光案内所では『壱岐ちゃり』なる電動レンタサイクル貸し出しをしているため避けては通れないのです。真新しいYAMAHAのPAS、どこにだって行けそうな気がする!でも観光マップの道が堂々と間違っているためiPhoneがないとどこにも行けない気もする!
午後いっぱいで何とか行けそうな「一支国(いきこく)博物館」に向かうため、自転車を走らせる。電動自転車ってすごい…すごいよ…これがわたしの電動自転車元年だ!東京でもわたしのことアシストしてほしい!!
スイスイと40分くらい走ると、畑の向こうに弥生時代建築と時代を先取りしすぎた感じの建築がセットで見えてきてぜいたくな眺めです。時代を先取りのほうが一支国博物館の建物になりますが、黒川紀章先生の設計ということで納得ですね。
一面に広がっている青々とした畑は大麦畑で、壱岐焼酎の原料になるようです。「九州出身なら焼酎とくいなんじゃないの?」という内容のない前フリにウンザリしている九州人は多いかもしれませんが、焼酎になる前の麦は壱岐の風に海のようにそよぎ渡ってとてもきれい。
地図および道路標識のそっけなさに「一支国は今も連綿とつづく独立国で日本との正常国交をもっていないのでは?」と不安になりますが、紀章先生のおかげでなんとか到着できました。
中はおそらく壱岐島でもっともマネーの香りがする場所となっております。弥生時代の大陸との通商の様子を描くビデオも、朝鮮の身分ある青年と一支国の素朴な布衣の少女の悲恋をにおわせるなど、なにやら豪華なつくりである…
大陸との行き来にこんな船で行けるなんて、人の探究心とはおそろしいものである。この奥には交易品やジオラマが並びますが、着せ替えコーナー的なものがあり、弥生時代の巫女や狩人の服を着せてくれます。
巫女「この船は沈みます!!(予言)」
すぐ眼下に広がる原の辻(はるのつじ)遺跡。現代人からみると素朴ですが、ここは一支国の王都であり、つまり当時は日本有数の眠らない街であったということです。現代の一般的なサラリーマンよりは寝てるかもしれないが…壱岐にはほかにも279基の古墳を含む482ヶ所の縄文〜元寇の時代の遺跡が知られているそうです。それでは自転車で遺跡まで行ってみましょう。
いちおうゴールデンウィークなのですが誰もいません(褒め言葉)(褒め言葉だがたぶんうれしくはないだろう…)
想像以上に平たくなっていた。
古代の眠らない街を独り占めしすぎて自転車を返す時間が近づいてきたため、帰りはけっこう必死で漕ぐ羽目になりました。
壱岐の玄関口を守る頼もしい神社に潜入
自転車を返したあとは、夕食まで郷ノ原の町をうろつく。フムフム、原の辻が夢の跡となった今はここが眠らない街となっているわけやね…まあわたしは今日はすごい眠ると思うけども…
郷ノ浦「ふれ愛通り」という商店街というか繁華街というかの奥に、塞(さい)神社という神社がある。信仰心あついキッズにも大人気なようだ。
ずいぶん立派なエリンギがかざられていますね〜!!
塞の神は悪霊や鬼神の侵入をふせぐ守り神ならびに、夫婦和合の神様。それがなんでエリンギになるのかはよくわかんないけどォー
お社の中には金色のエリンギまで…メレ子わからない!
天岩戸で裸踊りをしたアマノウズメと、天狗みたいな異形の神様・猿田彦が結婚して一対の神様になったのだそうで、なんか楽しそうな夫婦である。交通・海路安全を願って、海の男たちが女神に自前のエリンギを見せる風習もあったそうです。
ということはこの気さくな感じの人はアマノウズメさんなのかな?
ほうほう
ギャー!!!
奇景「猿岩」と砲台跡
翌日はバスで行けるところまで行ってみようと、まず奇景スポットの猿岩を目指します。バス停から30分くらい歩く。
ジャーン
猿に似ているから猿岩ということでひねりはゼロだが、ちゃんと猿の形していることでは全国トップレベルと思われる!
草原を渡ってすぐ近くまで行くこともできるようだ。
まあ、すぐ近くまで来ちゃうとぜんぜん猿じゃないので、近づくほどに遠ざかるかなわぬ恋のような存在なのだけれども…別にぜんぜん猿とか動物の中では好きじゃないし!もっと人からかけ離れてるやつのほうがいい!
海風がすごくてカジュアルに命の危険を感じることができます。全体的にこの日は風が強すぎて、外を歩いていると何も考えられなくなってしまい、ずっと外にいたら気が狂ってしまう!と本気で思った。今はお部屋の中でブログを書いているので正常だらr
猿岩のすぐ横には、黒崎砲台跡があります。
戦艦土佐の主砲を搭載、35kmという高い射程距離を誇りましたが、一度も使われることなく解体されたそうです。大分の丹賀砲塔砲台跡のように演習で暴発して多数の死者を出さなかっただけマシか…35km飛んで狙いどおり命中するか考えると、非常にコストパフォーマンス悪そうな印象。
地上からのメッセージを受け取る地底人(地上からのメッセージ内容は、「ウーロン茶はおいしいのにウーロンハイって何であんなにまずいと思う?」などのお役立ち情報ですらないフリートーク)
バス停までの道すがら、道ばたの生き物の写真を撮る。ちなみに何を血迷ったかコロコロのカートに荷物を入れてきてしまったので、コロコロを引いたりカメラを構えたりコロコロが溝にはまったりして大忙し…
ジャコウアゲハ「プクスー」
クロウリハムシ「プクスー」
交尾中のハムシにも笑われる有様…
そんな中、枯れて白くなったカラスウリの実を発見。ぽつんと一つ不穏な穴が空いています。中に虫かなにかいるのかな?「ちょっとのぞいて見てごらん」ってやつやね…ちょっとこわいから足で少しだけ踏んで割ってみようかしら。よいしょっと
↓
↓
↓
↓
↓
(クシャッ)
メレ子「あああああ!ああああああああ!ああああ!!!」
這いあがるおぞ気に耐えかねて道路の逆側まで走っていって海に向かってひとしきり叫んだあと、落ち着いたので戻ってきて上の写真を撮りました。「ちょっとのぞいて見てごらん」はいつだってロクな結果を生まないことを齢28にして学習…っていうか軽くてあたたかくてカラスウリの甘い果肉の匂いがするお家を壊しちゃってマジでゴメン…>>アリ一家
イルカが芸の練習にいそしむ『壱岐イルカパーク』
「小さくてゾロゾロいるのはもうウンザリ!大きくてスベスベしたものに会いたい!!」という気持ちになり、イルカパークというところを訪れる。
浮き桟橋の中に数頭のイルカが泳ぎながらごはん&練習タイムを待っています。
なぜか猫と犬もいる。
メレ子「おい!はるばる来たのにイルカとふれあえないってどういうことだよ!バス停遠すぎるし観光させる気あんのかよ!!かわりにお前が酌をしろ」
猫子「うっさい!今は新人のイルカがいるからみんな浮き足立ってて踊り子さんには手をふれないでください状態なんだよ!お前はコンニャクでも撫でとれや」
ふれあえなかったのは残念ですが、エサタイムにはなかなかハイレベルな芸を披露していました。
壱岐とイルカには浅からぬ縁があります。イルカによるブリの食害が問題となり、和歌山の太地などから追いこみ漁を学んでイルカの駆除をはじめたのですが、血抜きの風景がメディアで報じられて国際的に非難されたり、欧米の自然保護活動家が捕獲されたイルカを無理やり逃がして逮捕されるという事件が起きたり、壱岐は大揺れに揺れたそうです。
結局イルカの食害が真因か諸説ある中ブリは減り、イルカもそんなには来なくなり、今はイルカは観光資源として捉えなおされているみたい。
公共交通の限界と元寇の史跡
他にも行きたい場所はあったのだが、バスの路線はまったく観光客の足となることは想定していないので疲労が限界、雨まじりの冷たい風がビョウビョウ吹いてくるので、観光を切りあげてバスで港へ向かうことにしようとしたら、バスはわたしを見落としてピャーと走っていってしまったのでタクシーを呼びました(上は絶望してタクシーを待っているときの写真)
タクシーのおっちゃんは非常に親切で、フェリー待合所の売店に知り合いのとこだからと荷物を預けさせてくれたり、港の近くでごはんを食べられるところを教えてくれたりし、元気を取りもどすことができました。ダイエーの中のモスバーガーには島内でまったく見かけなかった若者があふれており、「ここにいたのか…!!」と思いました。
時間も余ってしまったので、港から歩いていける元寇の史跡へ。元寇というと博多のことを考えてしまうが、もちろん中国大陸と九州の間にあるこの島にも争いはあったわけです。
「…」
こちらは弘安の役で19歳で戦死した少弐資時(しょうにすけとき)のお墓。昔から地元で「ショウニイ様」と呼ばれていた塚が、明治時代に資時のお墓だと判明したんだそうです。
少弐公園の横にある壱岐神社も資時を祀ったもの。
猫「アンタもショウニイ様に興味があんの?」
メレ子「いや、単なるミーハー心ですが…えらい快適そうな巣ですね…」
長崎旅行記の次回は、さらに韓国に近い島・対馬について書きます。歴史も自然もとても引き出しの多い島です。
あと、エリンギは実際はここまでは猛々しくないので、オボコのみなさんも安心してくださいね!(メレ腐はオボコの味方ブログです!)