沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

文学フリマ東京/製麺会/『奇貨』通販について

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文学フリマ東京は無事に終了しました。来場いただいたみなさま、ありがとうございます。

『奇貨』は会場への直接搬入だったので、箱を開けて刷り上がりを見たときは心底ほっとした。マンドラゴラはわたしの悲鳴のモチーフです。自分そのものだった悲鳴はあげたそばから自分を離れ、受け取った人のものになっていく。

友人には『奇貨』ではなく「呪物」だの「黒い元気玉」だのと呼ばれています。おおげさなしかめっ面で来て「やだなあ…やだなあ…感想はたぶん言いません!」と言いながら買っていった友人もいた。面白がっているのも複雑な気持ちなのも、どちらも本当なのだろう。

ほんとに面白半分でいい。むしろ面白がってほしい。そう思えるようになった今、わたし以上に感情移入してつらさをこらえながら読んでくれる人もいて申し訳ない気持ちになるが、まさに「お前が言うな」である。

文学フリマはブース隣接申請ができるので、夏に声をかけてくれたワクサカソウヘイさんのおかげで藤岡みなみさん、宮田珠己さんらの豪華な島に並ばせてもらった。特に藤岡みなみさんのブースは人だかりが途切れず、その向こうで同じく猛然とZINE『園芸グランドスラム』を売っているはずのワクサカさんがほとんど見えないほどだった。お隣の宮田さんとそれを眺めながら「あれくらい売りたいっすねえ」「いいねえ」と話していたのだが、宮田さんもぼやき上手なだけで途切れずにやってくるファンのお相手をしているのだった。

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開場前と閉場間際に走りまわって、それぞれ10分くらいで買った本たち。

閉場後、ワクサカアイランドの有志と飲みに行く。お誕生日会や忘年会など、さらに楽しみな予定や計画がいくつか持ち上がる。あっという間の一日。

 

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翌日の日曜は製麺会。ちょっと前の飲み会で玉置標本さんに「うちで製麺してみろや」と絡んだところ、本当に製麺機と麺生地と朝から煮込んだスープ等々を担いできてくれた。言ってみてよかった!さすが50台の製麺機を持つ男。


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沖縄そば、めちゃくちゃおいしいし作ってる最中もすごく盛り上がる。正直いってちょっと製麺機が欲しくなった。うちのインテリアにも合うし…。

玉置さんご自身の記事はこちら↓

www.seimen.club

しめ鯖や燻製や落花生やハイボールを携えて集まってくれた友達にも『奇貨』を渡す。もう修復が難しそうな人間関係もあるけれど、あの爆発物取扱注意だった期間を越えて見放さずにいてくれている人にはほんとうにありがたいなと思う。

 

『奇貨』のことでいろいろ動いているうちに、もっとたくさんの人に読ませたい気持ちが湧いてくる。読んでくれた人から感想をもらって調子に乗っているのもあるが、こんなに切実な気持ちで書いたものはこれまでになく、書いてしまったからにはやはり読まれたいのである。

基本的にはいま読んでくれているのはSNSで荒れてたときのわたしを見て心を痛めてくれていた人たちなので感想も温かい。もうひとつ円が拡がれば、もっと容赦なく面倒くさい反応もあるだろう。それでも「もっと読まれたいか?」と訊かれたらイエスしかない。力が…欲しいか…?欲しいです!

そう考えているうちにみずから動く必要を感じ、予定している委託通販とは別に、急遽BASEでショップを作った。最近は匿名発送などの手段も充実しているらしい。必要なのは、自分で発送作業をなんとかする覚悟だけ。

satosuzu.base.shop

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通販のおまけとして、表紙に使われているのと同じマンドラゴラ図のポストカードをdubheさんにご用意いただけることになった。目にも止まらぬ速さで印刷の対応をしてくださいました(文フリで本体のみ購入された方は、よかったらdubheさんのショップもごらんください)。

朝から告知したところ、順調にオーダーをいただきまして現在SOLD OUTになっています。読んでくれる人がいる限り、増刷もすみやかに対応します。Kindle Direct Publishingでの電子化もやってみようと思っている。