イベントが多くてそわそわするけど、よく見ると何も進んでいない師走のこの感じが好き。コロナ禍に入ってからの12月はもっと陰鬱で、この晴れがましさをすっかり忘れていた気がする。疫病を撃退したわけでもないのにそわそわしているのもおかしいのかもしれないが。
仕事を終えて家に帰り、寒いからといってふとんに潜るとそこで一日が終わってしまう。最近はこのバッドエンドを回避すべく、
と書かれた38日前の下書きをいま発見した。バッドエンド回避の救世主はガスストーブである。帰ってすぐガスストーブをつけることで、平日夜を自分のために使う戦いが0勝5敗から2勝3敗くらいになる。
年末は家で忘年会をしたり、鯉を川で採るところからはじまる中東料理会に行ったりなんだかんだと忙しなく、いろんなことがとっちらかったまま冬休みに突入し、大分に帰省。
猫のかつおちゃんとすこしだけ仲良くなった。といっても、わたしが居間のこたつでぼんやりしているとかつおちゃんがくねくねしながらやって来てそばの小引き出しを開けろと促すのでおやつをあげる、そのときにちょっとだけ触らせてもらうという生態系がうまれただけである。そのほかの猫たちは屋根裏の猫ちぐらに引きこもるか、たまに居間の入口に立って「あの知らん人を追い出してもらえますかー!!」とブーイングしている。この家に人に甘えたりいっしょに寝たりしてくれる猫がいたのはずいぶん昔のことになる。
この不信に満ちた目…。
帰省中は父と姉と毎日ドライブしていた。父のお目当ての冬鳥はまったく見つからず「おらんな〜」と言いながらあちこち走り回っていると14時くらいになり「お昼を食べると夕飯が入らん!」という話になる。なぜなら17時には夕飯がはじまってしまうからです。実家の夕飯の時間はどんどん早くなっていく。母は日課のウォーキングやiPadでドラマを観る時間を捻出するため、夕飯を早く作って早く片付けたいのだ。このまえ二番目の姉と話していて「母ちゃんはもうごはんを作るのに飽きてるんよ、代わりに作ってあげるか外食に誘うといいよ」という話になる。
母は料理が上手で昔は台所に人を立ち入らせない感じだったのだが、年月がたつとやはりスタンスも変わるらしい。すず子には親孝行がわからぬ。すず子は村の牧人である。村の牧人はだいたいわたしより親孝行してそうだな。
元日の夜、わたしが夜の特急ソニックにちりんで福岡に移動するため、なんと16時から焼肉の準備がはじまった。いや16時からやらずとも間に合うのですが、と思っているところにTwitterのタイムラインで揺れた報告が出はじめて、あわててテレビをつける。能登の地震のニュースに思ったのは、まず絵付教室の先生や九谷焼の作家さんのことだった。能登で多拠点活動している人と年明けに会う約束をちょうどしていたところだったが、どうなってしまうのか。
※その後、その集落の被害は比較的少なかったのでボランティアなどの復興支援の拠点として整備されているとのこと。クラウドファンディングもされています。
【令和6年能登半島地震】能登の古民家宿TOGISOを復興支援拠点として整備したい - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
不安な気持ちを抱えたまま福岡に移動し、博多に一泊する。2日からベトナムのホイアンに行き、マメコがテーラーで服を作る様子を見学させてもらうことになっている。
2日の夜、ホイアンのフォー屋で落ちあったマメコ氏は「すずちゃんいいタイミングで来たよ」とのこと。それまではホテルの部屋中に布地を広げ、テーラーとどの生地でどの服を何枚作るかのやりとりを繰り広げてゆっくり飲む暇もなかったらしい。
ホイアンは美しい小さな街だ。滞在中はちょっと出かけてはフォーやバインミーを食べて、コロニアル様式のおしゃれなカフェでお茶をして、テーラーから呼び出しがあると服のチェックに出かけ、疲れたらホテルに戻って休み、夜も美味しいベトナム料理やワインバーに出かけ…という優雅な暮らしを送っていた。マメコが服の販売会をするたびに「なぜこの人はタイで生地を作ってベトナムで服にして日本で売るという、しかもほぼ一点ものの服をこんなにもたくさん作るしんどい商売を…?!」と思っているのだが、本人にしてみたらそれこそが楽しいのだということもなんとなく納得できた気がする。
そうして迎えた1月13日・14日のマメフェスは、服の点数でいうとこれまでで最大に近い規模でした。
常連さんが九州や四国からも駆けつけ、さらに前日からアイロン掛けなどお手伝いくださる方も。しかし一点ものが多すぎ「選べなさすぎて悲しくなってきた…」と言われていたのが面白かった。上の写真は途中で雨が降ってきて、マメコから親切心でゴミ袋をかぶせられているお客さま。
イベントが終わってひと安心ではあったのだが、販売会はいつもドーパミンが出すぎてそのあと気分が落ちこむことが多い。今回も二週間くらい冬季うつの典型的症状を示していたが、だんだんやる気が戻ってきた。
月一回の絵付教室に通っているとうつわの方も作りたい気持ちが高まってきて、陶芸教室は都内にたくさんあるが、自分のやりたい分野のものはとても少ない。前からちょこちょこ調べていて、ちょっと遠いけれど通うならここかな、と思った教室はホームページの連絡先がすべて死んでいる。メールもエラーで返ってくるし電話も不通。
あきらめて別の教室を探そうかと思ったが、やる気の出ないときに持ち直すコツとして「ちょっとだるいほうの選択肢をあえて二択で選びつづける」というのがある(本当に調子が悪いとこれができないのだが)。そこで今日、電車に乗って病院に出かけたついでにその教室に向かい、突撃ピンポンすることにした。
迷惑がられたり「今は新規入会を受けてないんですよ」と言われる展開も想像していたが、主催の方こそ居なかったものの講師の方々がいて「どこで知ったんですか?ホームページ?ここホームページあるの?」と言われる。そのままスマホで検索して「あるー!」って言ってる。連絡先は古いので直すらしいが、わたしは自分が入会できそうな雰囲気なので(直さなくていいのに…)と思った。連絡先が死んでるのに突撃してきた猛者はわたしの一年前にきた受講者だけらしい。
そのままわちゃわちゃと教室の説明を受け、主催者にもつないでくださるとのことで達成感に包まれて帰ってきて、いま猛然と日記を書いているわけです。単純だなあ。