沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

日記(2024年6月17日~2024年6月23日)

2024年6月17日 月曜日
スカートとくつしたの丈が合ってない気がして(合ってない気がするというのは、つまり合ってないのだ)落ち着かない気持ち。
日曜に休日出勤申請を出しておいて出なかったことへの罪悪感があり、遅くまで仕事をする。やっぱり今は休日も忙しいから平日がんばるべき。今週と来週で山を越えたいなあ。
映画「ノクターナル・アニマルズ」を配信で数年ぶりに観ている。やっぱり面白い。なぜこの主人公はここまで人を傷つけておいてよりを戻せると思っているのか?なんでも欲しがるけれど、いちばん大事なところはいつも人任せだから永遠に幸せになれない、そんな人間の一類型をよく表している。人生が虚しいなら磯に行け。そして磯のゆかいな生きものを捕まえて観察とかしろ、そうすれば幸せになれる(磯の北方謙三)。
帰ってからおみそ汁をつくって線をひく練習をして、メールを返したらもう寝る時間。明朝からスクワットチャレンジをやるつもりだが、初日から50回やるルールらしくてすごくいや。30日目には250回って正気か?もっと麻の苗を毎日ちょっとずつ飛び越すみたいなペースになりませんか?(忍者の修行)。忍者ですら意外とぬるいところから練習はじめるのに…50回…。

2024年6月18日 火曜日
雨で寒くて目が覚める。朝起きて水を飲んでからスクワットチャレンジ。はやくも膝がガタガタだが、やる気が出てきて腹筋のアプリもインストールする。しかし腹筋ができなさすぎてセンサーがまったくカウントしてくれず、とりあえず自分基準でこなしたあとiPhoneを適当に上下させて終わらせる。
ぶどう石のピアスを陶の洗面台にぶつけ、一部欠けてしまいショック。前からこの形だったと自身に言い聞かせる。
部署の人たちがほとんど出張に出ており、なんと完全な作業日が目の前に現れた!ゴリゴリに集中して実際かなり進んだのだが、疲れすぎて頭が海綿みたいにカスカス。これはこれでしんどい。はやくみんな帰ってきて。でもちょっと作業の終わりが見えてきた気がする。
来月また佐渡に行こうとしていて、メンツも宿もだいたい決まったのでひと安心。楽しみだな〜。
オンラインショッピングで好きな作家さんの器を購入しつつ「自分には一生作れないようなすてきな作品が手間暇を考えるとタダみたいな値段で手に入るのに、なぜ自分が作る必要があるのか?」と考えてしまう。少なくとも当分は、微妙な自作の器が積み上がる運命(さだめ)。しかし、微妙なものしか作れないことはやめる理由にならないのでR…と思いながら、いろんな角度からまっすぐ線をひく練習をつづけるすず子であった。

2024年6月19日 水曜日
昨日からすでに足が重かったが、起きてみるとさらにひどい筋肉痛。背筋にまで効いててスクワットすごい。
これ二日目やっていいのか?と思ったが、やってみると意外といける。ただし歩くと前ももがプルプルする。前ももに効いているのは姿勢がまずい気もするが、今はなんでもやったほうがましなはず。
夏のイベント(一般公開はないんです、ごめんなさい)の出展者のみなさんにメールする。いままでのところは運営との間に入ってくれているNさんにほとんど面倒なところをやってもらっており、わたしは出展者への声かけくらいしかしていないのだが、これからはだんだんできる作業も増えてくるかな。
会社でミーティングに行くと出席者のひとりが「今日は朝からいきなり鼻血が出てもうダメです。あと、最近ストレンジャー・シングスを観ていて、超能力を使うと鼻血を出すシーンが多いので『超能力が使えないのに鼻血が出るなんて…』と思ってしまう」と話していた。かわいそう。
お昼は部署で会議室ランチ。あなごのお弁当をいただく。「人と話すのが苦痛なのでAIと話せる英会話をやろうかと思っている」というと、「わたしは人が待っているというプレッシャーがないと継続できません」と言われ、それはたしかにそうだよな…と思いつつ、自分の場合は人と話すのがいやすぎてレッスン予約すらできてないのだった。こんなに日常会話が苦手な女に語学学習は無理なのでは?!
でも海外拠点でも日本語が話せる人の採用はしづらくなってきているので、やっぱり社内コミュニケーションには少なくとも英語が必要になってくるよね、という結論に。まずは国際昆虫学会のシチュエーションでAIと話すか…。
夜、難解な仕様を読み解いているとおなかがめちゃくちゃ鳴り出し、まわりの人に聞かれたらはずかしいのでそそくさと帰る。今日はあと一時間半は残業するつもりだったのに…。あとスクワットの筋肉痛がやばい。だんだん歩き方がおかしいレベルになってきた。

2024年6月20日 木曜日
朝からスクワット後、カエルのえさやり、アリのえさやり、植物たちのチェック、洗濯からの浴室干しなどをばりばりとこなす。夜は線をひく練習も続けているし、まるで生まれ変わったかのよう。しかし筋肉痛がつらい。
会社で別部署の後輩と話し、先輩風をびゅうびゅうと吹かせる。いまや先輩風を吹かせるとわりと気持ちがいいのだからおそろしいことである。しゃべりつづけたい気持ちを常に戒めなければならない。
「人間関係ってほんとに大事だからね、みんないきいきしてる平和な状態って奇跡なのよ」「奇跡なんですか?」「何人かいたら誰かしら元気ないのがまあ普通だし、誰かが激しく元気がなくなるときは何かしらあるから、ひとりだけじゃ済まないんだよね。小さい水槽のバランスがすぐおかしくなるのと同じで…」というたとえ話をした気がするが、水槽やってない人には逆にわかりにくいかもしれない。
隣の部署の人が6月から他のフロアに異動したのだが、毎日帰る前とかに異動前の部署に立ち寄っており、みんなから「馴染めてないんですか?」「巣立たない子ツバメ」と直球で言われてて面白い。あまり見たことない光景なので、円満異動だな〜と思う。
帰りに焼き鳥屋に吸いこまれ、二杯飲んで帰る。そのまま倒れこんで2時まで目覚めず、あきらめてそのまま就寝。

2024年6月21日 金曜日
とある案件にひとり感じのよくない人がおり、象牙の塔から見下ろされている感がすごい。「ほぼほぼボランティアなのに下請け業者扱いされてるよ〜」という気持ちと「いまどき下請け業者にもそういう扱いをしたらだめなんだぜ」という気持ちを同時に感じる吉宗であった。
昨夜は線をひく練習をさぼったので、起きてから昨日のぶんをやる。さらに今夜も飲み会なので今日のぶんも。一週間やっても特にうまくなった気はしないが心は落ち着く。
会社でえらい人の退任のあいさつがあり、みんなで写真を撮る。みんながちゃんとした格好をしているのではじっこに写ろうと画策するが、背が低い者あるあるでかなり真ん中寄りになってしまい気まずい。
早めに上がって、蔵前のトーキョーピクセルギャラリーで開催中ののそ子さんの展示「身につける、毛」へ。のそ子さんの羊毛フェルト作品はものすごく固く深く刺されていて、そのしっかりした質感が生きものとしての存在感や生命感に直結している。「確り」という言葉がふさわしい。


ところで展示に向かう途中でとある方からメッセージをいただき、やりとりしているとわたしにとってもよい思い出ではないある人の名前が出てきて驚愕。おかげで展示を見ている間もそのあとごはんを食べに行ったあとも、じゃっかん上の空になってしまう瞬間があった。
「もう恋愛はいいかも」と思っているからか、それを補強するような生臭エピソードをこの一年で見聞きすることが増え、「もう恋愛はいいかも」のフォントがだんだん大きくなっていく。いま級数48ポイントくらいある。数年前に恋愛がテーマの連載をしていたころ、「参考にするから恋バナを聞かせろ!!」と友達に迫っては「そんなのないよォ…もう大学生とかじゃないんだし…」と言われていたのが嘘のようだ。
そんなことを裏では考えていたが、ビストロでの7人でのごはんはとても美味しくて会話も楽しかった。またぜひ行きたいお店。

2024年6月22日 土曜日
化粧も落とさず寝てしまい睡眠は浅かったが、起きて運動だけはやる。土曜に陶芸教室に行くことですごく余裕がなくなった気がしていたが、土曜にずっと寝ていられなくなったことで全体的な活動量は上がっていて、心と身体に良いのかも。
昨日聞いてしまった話と、夜中に読んだ『ヒストリエ』12巻の内容が頭にへばりついている。これまでの『ヒストリエ』でいちばん衝撃を受けたシーンは間男の頭を蛇がゆっくりゆっくり飲んでいくところで、漫画ってこんなこともできるんだ…!と思ったが、最新刊もそれくらいすごい内容。
陶芸教室では二種類の青磁の釉がけをやって、余った時間でカレー皿の素焼き前の仕上げ。教室でもずいぶんリラックスしてきた。そして合鍵も用意してもらったので、これからは日曜に行くこともできる!混んでいると気をつかう作業も多いしね。
途中で以前教室に通っていたというご夫婦がたずねてくる。鎌倉に古民家を買って庭にビオトープを作ったりしていて、こんど教室のメンバーを自宅に招いてくれるそう。正直すごく行きたい。
家に帰りついてすぐ、エアコン取付屋さんの現地確認がある。去年の夏はまだリビングがくつろげる場所ではなかったが、これから上絵付やソファでの昼寝をする時にないと困りそう。
去年は寝室用のエアコンを買うとき、価格.comで安いところで本体を買ってそこから委託された取付業者もセットで手配したのだが、その人の態度や現地での追加料金請求に納得感が薄かった。今度はひとつの排気口から二機に配管することになるので、返事が速くて明朗会計と評判の取付業者から先に探した。実際、現地確認の調整も見積もすごい速さ。去年もこうすれば良かった。
カエルのえさのコオロギを受け取り、閉店間際にクリーニングの引きとりに行って、家の近所でごはんを食べる。前の家のまわりには気軽に外食できる店がほとんどなかったので、最近うれしくて外に出ている。
寝る前にもうひとつ何か「成そう」と思い、うちにある皿や図案の本を見ながらわさお皿の構図を再考する。鯵ヶ沢の白いものをたくさん詰めこんだお皿にすることにした。波しぶき、海鳥、雪をかぶった岩木山、りんごの花。問題はこれがわたしに描けるのか、である。

2024年6月23日 日曜日
干潮だが雨なので磯には行けない。ひさしぶりに出かける予定がない一日、という気がする(先週の日曜は休日出勤しなかったが、「予定」と「罪悪感」を抱えていたのでノーカウントである。そこまで言うなら行けよ)。
心おだやかに家事をかたづけ、買っておいたガラスカッターを取り出す。上絵で呉須や絵具を摺るのにつかうガラス板を、A5のクリアファイルケースに収まる大きさにするのである。どれくらい切れ目を入れればいいのかわからず、途中からネットの実演動画を頼りにした。ガラス板を切れ目に沿ってパキッと割るのは怖くて、実際何枚かはよけいな破片を作ったし、一枚はまっぷたつに。
カットしたあとは砥石などで滑らかにしたほうがいいことも分かり、ホームセンターへ。ダイヤモンドやすりに加え、すべり止めつきの定規なども買う。こうして家に謎の工具が増えていくのである。
夜「ミスター・メルセデス」を観ながらガラスをやすり続ける。ファイルケースにぎりぎり収まらない板があったので二時間くらいかかってしまった。なんか絵付にかけてる時間より絵付の準備にかけてる時間のほうが長くないか?と思ったそこのあなた!正解です!!いちおうまっすぐな線をひく練習などは続けています。
もっとやることがあったような気もするが、絵付(の準備)でほぼ一日が終わってしまった。しばらくはイベント準備とZINE発行に軸足を戻そう。