沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

日記(2024年6月24日~2024年6月30日)

2024年6月24日 月曜日
朝の空き時間で先々週の日記をアップする。アプリにつけた日記を一週間遅れですこし直してブログにアップするのがちょうどいい気がする。
お昼前にこの前提出したマンション売却記事が公開されて、各SNSで告知などをする。売却の参考にするには特殊事情(ひとり暮らし、買い先行でのスケジュールなど)が多すぎて大丈夫かな?と思っていたが、金額やスケジュールなどをわりと丁寧に書いたからかそこそこ反応があってよかった。
長年はてブのネガコメを眺めすぎているため、今回金額について書いてしまったことで「築52年の天井が斜めのマンションが3000万台?ゴミを売りつけるんじゃねえ」みたいなことを言われたり賃貸至上派の人がやってきて棍棒で殴られるんじゃないか?と思っていたが、意外と大丈夫だった。さらになんか言われたら「おまえらみたいのがいるからみんなマンション記事にいちばん知りたいはずの金額のことが書けねえんだよッ」と言い返す覚悟でいたが、完全に脳内闘争だった。
姉たちとやりとりしていたら、グアテマラに行ったあとみんな完全に調子を崩していたことがわかる。今はみんな元気だが、やっぱり体力的に過酷だっただけでなく、ずっと楽しみにしていたことが終わっちゃうとゲンナリ来るのかな。ちなみに父は毎日グアテマラの思い出を野鳥ブログで更新しており、楽しめたんなら良かった。わたしは何も役に立ってないですが。

2024年6月25日 火曜日
たぶん恋人ができる前は上海で寂しくて仕方がなく、恋人ができてからはたとえば予約していたリトアニア旅行をキャンセルして彼の住む島に行ったりしていたのだが(なにしろ会社員は長期休暇が貴重だからね)、さんざん自分に合わせさせておきながら後半はそれが退屈だみたいなことを言って去られて心がとんでもないことになってからはや一年。

恋愛が埋めていた心のすきまに仕事や趣味や自己実現や友達との付き合いがどんどん入ってきて、毎日時間が足りなさすぎるのにいったい何やってたんだろ?三年半も?となっているのが今。いったい何してたんだろう。
呪詛を結晶化することに心血を注いできっちりオモシロ呪物(だって『奇貨』はほんとに面白い自信があるから…)を書けて、恋愛への幻想も手放した結果いろんなものをつかんで立ち上がり、かなりの強運の持ち主だと思う。
などといろいろ考えているのは、ある知人から別の知人への呪詛を目にしている真っ最中だからなのだが、わたしにできることはない。
恋愛なんてクソどうでもいいと思っている、と書いたら、「たしかに恋愛はクソどうでもいいけれど、いつか素敵な人と出会ってそのことを書いてほしい。アレが最後の恋愛はだめ」と言ってくれた人がいて和んだ。別にどれが最後でもいいんだけど、そう思ってくれる気持ちが嬉しいじゃないの。

2024年6月26日 水曜日
都知事選の選挙公報が届いてた。クソ地獄みたいな紙面だがちゃんと投票しないと。
ここ二日ほどはまったく風が吹かない蒸し暑い夜で、ついにエアコンをかけて寝ていた。喉がやられそうで嫌なのだが、まだ今のところは大丈夫。iinaでオーダーしたサラサラのインド木綿のカットソーが届いたので、水色の地に黄色い小花模様のやつを着て出社する。謎のヘチャッとした顔の魚がたくさん描かれた柄のもあるのだが、さすがに会社には無理かな〜。
忙しすぎて、というとほんとに忙しい部署の人にはぶっ飛ばされそうだが、地味に仕事があってほんとに手をつけたい仕事がどんどこ後回しになっていくので叫びだしたい。
日本の刑事ドラマを観てると、すぐ「復讐はだめだ!」みたいなことを言うのはお国柄なのか。復讐だめ派ならだめ派でちゃんと掘り下げないのがだめ。そこが描けないなら、せめてすっきりさせてほしい。
自分が欲しいものが分かってないからなんとなく人が持ってるものや幸せだとされていないものはひととおり欲しがる、でも自分が欲しいものともほんとは違うししっくりきていないからずっと不幸なまま、それで不定期に暴れては周囲を巻きこむ。そんな人間がいちばん貪欲でやっかいだなと思う。
リビングに小さなプロジェクタを吊ってロールスクリーンに投影したら、あまりデザインが気に入っていない障子風内窓も隠れるしホームシアターもできて一石二鳥。
というアイデアがあるが、なぜか「ホームシアター」という言葉が異常に気恥ずかしい。ほんとは大スクリーンで映画を観ることに関心が薄いからだろうか。しかし一体なにに対して恥ずかしがってるんだ、と気合いを入れ、ニトリのロールスクリーンを注文する。プロジェクタもだいたい調べたが、まだ恥ずかしい。もう少しだけショッピングカートに寝かせておく。

2024年6月27日 木曜日
電子工作のアイデアが止まらない。SNSでまじめに外来種の話をしているところに「ところで移民って〜」と言い出す輩にタライを落とす仕組みを作れないものか。
現在は過度な貧乏ゆすり、電車で足を開いて横の女性の膝に足をつける行為などに対して電流を流せる椅子を構想している。しかしやたら電流に強いキルア=ゾルディックみたいなおっさんを爆誕させてしまう可能性も。
会社で救命講習を受けた。保健師さんが実演のときに「ルンルン、花金に浮かれながら帰宅中の◯◯であった……あっ、人が倒れている!まずは周囲の安全ヨシ!だれか来てください、人が倒れています〜!!」とちょっと長めに寸劇していたのがかわいかった。
一日眠くてたまらなかったので、すべてを投げ出し早めに帰る。最近やけに寝起きがいいけど、単に眠りが浅いのかもしれない。仮眠したあと線をひく練習をし、シャワーを浴びてからiPadにプロクリエイトをインストールする。お皿の図案を描くのにレイヤーを駆使した絵が描けたらいいなと思っているのだが、デジタル絵を勉強するのがはたして近道なのかは謎、しかし長年やってみたかったことではあるので。30分ほど触ってみてから寝る。

2024年6月28日 金曜日
本格的に梅雨がはじまったらしい。雨なので昼は公園に行かず、プロクリエイトの練習をiPadでした。まだまだわからないことが多い。プロクリ三年柿八年。プロクリ植えてハワイに行こう。
ついでにボスに命じられたアプリ用のアイコン絵も描く。弊社はアプリとかも内製しているのだが、たまにそのアイコンを描かされることがある。しかしわたしが描けるのは胡乱な目つきのねこちゃんくらい。海外拠点の人も含めて数百人が使ってるアプリのアイコンが、すず画伯のねこちゃん。「本当に大丈夫なのか」と確認してもみんな「いつか怒られたら変えよう」としか言わないので、怒られるまでは胡乱な目つきのねこちゃんが世界を席捲する。
帰り道に雨の中、夕ごはんを食べる店を探す。珍しく気が大きくなっていて、面倒くささよりも好奇心が勝っている、こんな日に限ってどこも満員。ぜったいおいしくないだろうなと思っていたインド料理屋に入る。インド料理と銘打っている店の多くがネパールの人が就労ビザを得るために開いているお店であると言われるが、かくもと思われるメニューの節操なさである。マトンビリヤニをいただいたが、びっくりするほどのコクのなさであった。でもたどたどしくも日本語で接客してくれたり、「残りを持って帰りますか?」と訊いてもらったりして「好き…!!」という気持ちになる。味を忘れたころにまた来るだろう。
ちなみにその隣にはとても感じがよく一人でも入りやすい雰囲気のビストロがあるのだが、いまいちぼんやりした味なのであった。この味覚がぼんやりしたわたしにここまで言われるくらいだから大概なのである。
ある夜、閉店後のビストロの前を通ると、クローズドの看板をかかげ、椅子を机の上に上げて床を拭きあげ、照明はカウンターのみにおさえた店内でご夫婦がワインを開けているのが見えた。それが一幅の絵のような完璧な光景で、わたしは「推せる……!(もっとおいしければ)」と思ったのだった。ひどい話である(わたしが)。
ベッドでプロクリエイトの使い方動画を見て、iPadでわさお皿の素材を描いてみる。楽しくて4時前まで夜ふかしする。もうすこしで我は完全にレイヤーの概念を理解するであろう。

2024年6月29日 土曜日
今日は陶芸教室に先生がいない日。作業しに行くことは可能なので悩んだが、陶芸以外にもやらないといけないことを一気に終わらせる日にした。
メモ帳に前日から細かくやることを書きとめ、上からかたづけていくことにする。朝起きたらまず日課の運動をして、洗濯してお掃除ロボットを動かし、カエルとアリのえさやりに植物の水やり、シャワーを浴びてメイク。こうして書くと実に立派だが、合間合間にひっくりかえってスマホを見ている。
金曜の夜、なぜか浮かれてミスドでドーナツをひと箱買ってしまったのだった。気がついたら…おれは…と血まみれの手を眺める。ドーナツを食べるならお茶もきちんと鉄瓶で淹れよう。そうこうしていると、どんどん時間が溶けていくのであった。
昨日夜ふかししたので2時間ほど昼寝してしまい、気を取りなおし日記をまとめて更新。昼寝が2時間で済むこと自体、昔はなかった気がする。もしかしたら老化現象かもしれないのだが、あんなに際限なく寝てられる若さというのも一種の病気なのでは。
外に出る用事をまとめて済ませようと、まずは都知事選の期日前投票に向かう。しかし、なんと投票所になっている区の出張所は明日からのオープンだった。明日リベンジするしかない!
直しに出していた服の引き取りや買い物などの用事を済ませて帰ってくる。ごはんを作って食べたらまたひっくり返ってしまい、あっという間に22時。Twitterで漫画を読んでいて、小型二輪免許をとってホンダの黄色いハンターカブに乗りたい…でも運転こわい…とジタバタする。原付に乗れるようになったら三浦半島(の磯)を制圧できるのにな〜。三浦義村みたいな言い方。
ホラー映画をBGVに、カーテンレールにロールスクリーンを取りつける。ここに小さなプロジェクタで映画を映してホームシアターにするのだ。

家事雑事はめちゃくちゃ片づいたけど、タスクリストを振り返るとこんな感じ。

みごとに頭つかう作業だけが残ってんな!!!!!結局は机に向かいたくなくて、せっせと家事雑事に精を出していたのが明らかになった一日でした。

2024年6月30日 日曜日
朝から予約していた美容外科のカウンセリングに行く。脱脂注入というのをすすめられる。脂肪をいらんところからチュッと抜いて、いるところにチュッと入れることで顔をなめらかにする。顔は粘土細工じゃないのよ?!野蛮!
緊急連絡先として実家の住所を書くと、熊本出身のカウンセラーさんが「こっちの温泉って高いですよね?箱根とか…」と声をひそめて囁いてくる。わかります。
そのあと期日前投票所へ。地味な住宅街なのでできるだけ通ったことのない道を通っていく。大きな空き地があってタマムシやカナブンが梢を飛んでいたが、高い塀に囲まれていて中に入れず無念。投票所では蓮舫に投票して出てくる。思想信条からいって一択にしかならないのだが、ここまで一択な状況もしんどい。
昨夜は4時ごろまで眠れなかったので、帰ってから仮眠する。
夕方から害蟲展のオンライン一次審査。100点ほどの応募があり、事前に作品データとポートフォリオを見て入選/落選をスプレッドシートに入力するのがなかなか大変だった。事務局の方はリスト作りから応募者へのリマインドも何度もやっていて、大変どころではないのだが。
せっかくのゲスト審査員なので、意見が明確なほうがいいかとあえて厳しめに入力。良いものなら誰か推すだろうと思ったし、実際そうなった。審査過程はとても興味深く、他の審査員のコメントを聞けてしまっていいんですかという気持ち。一次審査で半分くらいになったが、映像作品などを除いてすべての作品を集めて二次審査のセットアップをする事務局は本当に大変。
審査するという立場で見ると、これって本当に「害虫」か?とか、これを通したのにあれを落として良いんだろうか?とかいろいろ考えてしまう。作品として整っているぶん「これは実物を見ても写真より良いことはないだろう」という判断になることもあれば、「よくわかんないからとりあえず実物を見たい」となるものもあり、一次審査を通ったもの>落選したもの とは簡単にはならなさそうなのが面白い。
あと、これは一次審査でする議論ではないだろうと思って口にしなかったが、「害虫というステロタイプに対峙するのがテーマなのに女性へのステロタイプはそのままお出ししちゃうんだ?」という作品が二、三あったのは気になった。ともあれ二次審査が楽しみです。
オンラインミーティングでそれなりに気を張ったのか、ぐずぐず過ごして就寝。結局自分のための作業はできてない週末であったが、充実はしていた。